ただの「記録」は時間の無駄。人生を変える日記は「出来事」を書かない。
「会議で自分の意見がうまく言えない」 「頭の中がモヤモヤして、何に悩んでいるのか自分でもわからない」
仕事や日常生活で、このような「言語化」の壁にぶつかってお悩みではありませんか?
実は、思考を整理し、相手に伝わるように話す能力は、生まれつきの才能ではありません。「書くこと」によって後天的に鍛えられるスキルなのです。
この記事では、『7つの習慣』の著者スティーブン・R・コヴィーが提唱する、脳を鍛えるための「書く習慣(ジャーナリング)」について解説します。 理学療法士として患者さんの記録(カルテ)を書く毎日ですが、事実だけでなく「考察」を書くことで、初めて治療の道筋が見えてくることがあります。人生もこれと同じです。
結論をお伝えします。ただ起きたことをメモするのではなく、「内面の奥底」を言葉にすることで、あなたの脳は劇的にクリアになります。
日記は「脳の整理整頓」をする最強のツール
私たちは毎日、膨大な情報の洪水の中で生きています。頭の中が散らかっている状態では、良いアイデアも浮かばず、論理的に話すこともできません。
コヴィー博士は、「書くこと」の効能をこう述べています。
「考えたことや体験したこと、ひらめき、学んだことを日記につけることは、明確に考え、論理的に説明し、効果的に理解できる能力に影響を与える」
頭の中の「荷下ろし」をする
頭の中でぐるぐると考えている悩みは、目に見えないため実体がつかめません。 それをノートに書き出すことは、重い荷物を一旦地面に下ろして、中身を確認する作業に似ています。
- 何が不安なのか?
- 何が嬉しかったのか?
- そこから何を学んだのか?
文字にして視覚化する(明確に考える)ことで、初めて脳は「ああ、自分はこう考えていたのか」と理解し、整理を開始できるのです。
「小学生の日記」から卒業しよう
ただし、単に「今日は○○へ行きました。楽しかったです」と書くだけでは、思考力のトレーニングにはなりません。 コヴィー博士は、手紙(文章)を書く際の注意点としてこう指摘しています。
「ただ出来事を書きならべて表面的な話に終始するのではなく、自分の内面の奥底にある考えや思いを文章で伝える努力をすること」
事実ではなく「解釈」を書く
思考力を鍛えるポイントは、「事実(What)」の奥にある「理由(Why)」や「感情(How)」を掘り下げることです。
- × 表面的な記録 「今日、上司に怒られた。ムカついた。」
- ○ 内面の奥底を書く 「上司に怒られて悔しかった。なぜ悔しい? 図星だったからかもしれない。あるいは、言い方が理不尽だと感じたからか? 次からはこう伝えてみよう。」
このように「深く考える」プロセスを文章化することで、自分を客観視する力と、論理的に説明する力が同時に養われます。
書くことは、話すことの予行演習
「自分の考えを明確にし、相手からわかってもらえるように論理的に述べる訓練になる」
「書く」という行為は、スローモーションで話しているようなものです。 紙の上で自分の考えを論理的に構成できない人は、口頭でとっさに論理的な話をすることはできません。
逆に言えば、日記や手紙で「自分の思いを的確な言葉にする練習」を積んでおけば、実際の会話でもスムーズに言葉が出てくるようになります。 「書く習慣」は、孤独な作業のように見えて、実はコミュニケーション能力を高めるための最高の予行演習なのです。
まとめ・アクションプラン
今回の記事のポイントは以下の3点です。
- 日記は単なる記録ではなく、思考を明確にし、論理的思考を鍛えるツールである。
- 表面的な出来事ではなく、「内面の奥底にある思い」を言語化することが重要。
- 書く力(ライティング)を鍛えることは、話す力(スピーキング)の向上に直結する。
今日から、スマホのメモ帳でも、お気に入りのノートでも構いません。「自分は何を感じたのか?」を書き出してみましょう。その習慣が、あなたの知性を磨き上げます。
Next Action:お気に入りの「相棒」を見つける
形から入るのも立派な戦略です。思考を書き出すための「ちょっと良いノート」と「書きやすいペン」を用意してみませんか? おすすめは、思考の邪魔をしないシンプルなノートです。自分自身と向き合うための投資として、ぜひ一冊手元に置いてみてください。
また、より深く「自分を磨く習慣(第7の習慣)」について学びたい方は、**『7つの習慣』**をぜひご一読ください。読むたびに新しい発見がある、人生のバイブルです。
