『菜根譚』に学ぶ「最初に厳しく、しだいに緩める」人の育て方 ― 信頼と尊敬を築くための知恵
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Taka Knowledge Output
「その苦しみに耐えよ、心の動きにさらわれるな! その闘いは偉大にして、神聖な務めなのだ――自制のために、自由のために、幸福のために、平静のために。」
これはストア派の哲学者エピクテトスが『語録』で語った言葉です。彼は人生を「競技」に例え、真の競技者とは「間違った印象にとらわれないよう、厳しい訓練を積む者」だと説きました。
エピクテトスは、心の動きを「嵐」に例えています。突然怒りに襲われたり、不安に支配されたりすると、まるで暴風雨のただ中にいるように感じるものです。
嵐の最中は視界が悪く、冷静な判断ができません。同じように、感情に飲み込まれているときは、理性が働かず、後悔する行動を取りやすくなります。
気象予報が発達した現代では、嵐の到来を事前に察知することができます。無防備に直撃を受けるのは、警報を無視して備えを怠ったときだけです。
感情の嵐も同じです。
こうした備えをしていれば、感情に翻弄されにくくなります。
ストア哲学は、外的な出来事を変えることはできないが、自分の反応を変えることはできると教えます。
暴風そのものを止めることはできませんが、防風窓や避難計画を整えることはできます。同様に、怒りや不安を完全に消すことはできませんが、それに流されずに対処する準備はできるのです。
これは単なる我慢ではなく、自分を自由にするための訓練です。感情に振り回されないとき、私たちは真に主体的に生きられるのです。
人生の中で嵐を完全に避けることはできません。怒りや不安といった感情は、必ず私たちを襲ってきます。
大切なのは、それを恐れるのではなく「備える」ことです。
エピクテトスが説いたように、それは「自制と自由、幸福と平静」を守るための神聖な務めなのです。