なぜあの人はいつも穏やかなのか?「日常のトラブル」を成長に変える思考法
朝の通勤ラッシュでの渋滞、言うことを聞かない子供、理不尽なクレームを言ってくるお客さん……。 こうした日常のトラブルに遭遇するたびに、「ついてないなぁ」と溜息をついたり、イライラを爆発させたりしていませんか?
「もっと大きな仕事がしたいのに、こんな些細なことで消耗したくない」
そう思う気持ち、よくわかります。しかし、世界的ベストセラー『7つの習慣』の著者、スティーブン・R・コヴィー博士は、この**「平凡で面倒な日常」こそが、人生を変えるための最強のジムである**と語っています。
この記事では、日々のストレスを「メンタルを鍛えるダンベル」に変えてしまう、主体性の鍛え方について解説します。
結論から言うと、いざという時に大きな力を発揮できる人は、渋滞の中での過ごし方ですでに差をつけているのです。
メンタルも「筋肉」と同じで、毎日鍛えるもの
オリンピック選手がいきなり金メダルを取れないように、私たちも人生の大きなプレッシャー(大病、失業、重要な商談など)に、いきなり打ち勝つことはできません。
日頃のトレーニングが必要です。では、どこでトレーニングすればいいのでしょうか? コヴィー博士はこう述べています。
日常の平凡な出来事の中でも、人生の大きなプレッシャーに主体的に取り組む力をつけることはできる。
つまり、特別な修行に出る必要はありません。 目の前の「ちょっと嫌なこと」が、すべてトレーニングマシンになるのです。
「日常」という名のトレーニングメニュー
コヴィー博士は具体的なメニューとして、以下のような場面を挙げています。
- 交通渋滞:イライラするか、音楽を聴いてリラックスするか。
- 怒っている顧客:言い返すか、相手の気持ちを汲み取って話を聞くか。
- 言うことを聞かない子供:怒鳴りつけるか、忍耐強く反応を選択するか。
- 約束:小さな約束を適当に破るか、誠実に守り抜くか。
これらの一つひとつにおいて、「感情に任せて反応する」のではなく、**「自分で自分の態度を選ぶ(主体性を発揮する)」**練習をすること。 これが、心の筋肉(主体性)をムキムキに鍛えていくのです。
渋滞でイライラしない人は、人生の危機にも強い
例えば、渋滞に巻き込まれたときを想像してみてください。
- 主体性がない人:「なんで動かないんだ!」とハンドルを叩く。
- 結果:血圧が上がり、会社に着く頃にはヘトヘト。
- 主体性がある人:「動かないなら、気になっていたオーディオブックを聴く時間にしよう」と決める。
- 結果:知識が増え、穏やかな気持ちで会社に到着。
たかが渋滞ですが、この「自分の機嫌を自分で取る力」は、将来もっと大きなトラブル(リストラや病気など)が起きたときに、真価を発揮します。
日常の小さな波を乗りこなせない人に、人生の大波(ビッグウェーブ)は乗りこなせません。 逆に言えば、「子供のイヤイヤ期」に冷静に対処できる親は、ビジネスの修羅場でも冷静な判断ができるリーダーになれるということです。
「言葉遣い」から変えてみる
いきなり聖人のように振る舞うのは難しいかもしれません。 そこで、今日からできる一番簡単なトレーニングをご紹介します。それは**「言葉遣い」**を変えることです。
元の文章にもこうあります。
どのような言葉遣いをするか、といったことが大切なのである。
- 「~のせいで遅れた」 → 「~という状況だったが、私の見通しが甘かった」
- 「あのお客さん、ムカつく」 → 「あのお客さんは、何に困っていたんだろう?」
主語を「他人・環境」から「自分」に変えるだけで、脳は「あ、これは自分でコントロールできる問題なんだ」と認識し始めます。 この小さな積み重ねが、あなたを「何が起きても動じない人」へと変えていきます。
まとめ・アクションプラン
平凡な日常こそが、あなたを非凡な人間へと成長させる道場です。 今回のポイントは以下の3点です。
- 人生の大きな困難に立ち向かう力は、日々の些細な出来事への対応で養われる。
- 渋滞、クレーム、子供の対応などは、すべて「主体性の筋肉」を鍛える筋トレである。
- 状況に流されず、自分の態度や言葉遣いを「選択」する練習を繰り返すことが大切。
Next Action
次にイラッとする出来事(電車が遅れる、レジが混んでいるなど)が起きたら、心の中でガッツポーズをしてこう言ってみてください。
「よし、メンタルトレーニングのチャンスが来た!」
そして、怒る代わりに深呼吸を一つしてみる。 その小さな成功体験が、あなたの自信を確固たるものにしていきます。
こうした日常での実践方法についてさらに詳しく学びたい方は、**『7つの習慣』**をバイブルとして手元に置いておくことをおすすめします。 読み返すたびに、「あ、今日のあの失敗はこう対処すればよかったのか」という発見があり、毎日の生活がゲームのように楽しくなっていくはずです。
