「あいつのせいで怒った」は間違いです。あなたの不機嫌があなた自身の「選択」である理由
「雨が降っているから、やる気が出ない」 「上司が理不尽だから、仕事がうまくいかない」
私たちはつい、自分の不調や不機嫌を**「周りの状況」**のせいにしてしまいがちです。
でも、ちょっと待ってください。 本当に周りの環境が、あなたを操っているのでしょうか?
理学療法士として多くの患者さんと接していると、同じ怪我をしても、「痛いから動かない」と環境のせいにする人と、「治すために動く」と自分で決める人がいます。回復が早いのは、間違いなく後者です。
この記事では、コヴィー博士が定義する**「真の主体性」**について解説します。
結論をお伝えします。 主体性とは、手を挙げて発表することではありません。 どんなに最悪な状況でも、**「自分がどう振る舞うか」を自分で決めること(責任を持つこと)**なのです。
「率先力」ではなく「選択力」
多くの人は「主体性」という言葉を、「誰よりも先に手を挙げて行動すること」だと思っています。 しかし、コヴィー博士の定義は少し違います。
主体性とは、自発的に率先して行動することだけを意味するのではない。人間として、自分の人生の責任を引き受けることも意味する。
英語の「Responsibility」に隠された意味
「責任」は英語で Responsibility と書きます。 これは Response(反応) と Ability(能力) を合わせた言葉です。
つまり、「責任」とは重荷を背負うことではなく、**「自分の反応を選択する能力」**のことなのです。
- 動物的な反応: 嫌なことを言われた →(即座に)怒る。
- 主体的な反応: 嫌なことを言われた →(一呼吸置いて)冷静に聞き流すことを「選ぶ」。
この「選ぶ力」を持っていることこそが、人間としての主体性です。
あなたは「天気」に支配されていないか?
私たちの行動は、周りの状況ではなく、自分自身の決定と選択の結果である。
主体性のない人(反応的な人)は、**「心の天気」**を周りに委ねてしまいます。 他人の機嫌が悪ければ自分も曇りになり、景気が悪ければ自分も土砂降りになる。これでは、人生の操縦桿を他人に渡しているのと同じです。
リハビリ現場で見る「心の天気」
私が担当したある患者さんは、雨が降ると必ずリハビリを休みました。「気圧のせいで膝が痛いから無理だ」と言うのです。 一方で、別の患者さんは雨の日でも来ました。「雨で外を歩けないからこそ、ここでしっかり運動しよう」と言うのです。
事実は「雨が降っている」という一つだけ。 しかし、それをどう解釈し、どう行動するかは、**100%その人の「決定と選択」**にかかっています。
感情を「価値観」に従わせる
人間と動物の最大の違いはここにあります。
私たち人間は、感情を抑えて自らの価値観を優先させることができる。
「今日は疲れたからサボりたい(感情)」 この気持ちは誰にでも湧きます。しかし、主体的な人はその感情の奴隷になりません。
「でも、健康な体を取り戻すという目標(価値観)があるから、5分だけストレッチしよう」
このように、湧き上がる感情を、自分の大切にしたい価値観の下に置くことができるのです。
責任を取るとは「主役」になること
「あいつのせいで俺は不幸だ」と言うのは、「あいつが私の人生を支配しています」と認めることです。 逆に、「今の状況は厳しいが、ここからどう挽回するかは私が決める」と考えること。
これが**「責任を引き受ける」**ということです。 被害者でいるのをやめて、自分の人生の脚本を自分で書き始めること。それが主体性の正体です。
まとめ・アクションプラン
記事の要点をまとめます。
- 主体性とは、率先して動くこと以上に「自分の反応を選ぶ能力(責任)」のこと。
- 状況や他人の言動(天気)は変えられないが、それに対する「自分の態度」は選べる。
- 一時的な「感情」よりも、自分が大切にする「価値観」を優先して行動しよう。
「どうして私がこんな目に」と思うことがあったら、それは**「試されている瞬間」**です。 環境のせいにして被害者になるか、自分の意志で未来を選ぶ主役になるか。 選ぶ権利は、常にあなたの手の中にあります。
Next Action:一時停止ボタンを押す
今日、誰かにイラッとしたり、落ち込むような出来事があったら、頭の中で**「一時停止ボタン」**を押してください。
そして、自分にこう問いかけます。
「今、私は感情的に反応しようとしていないか? 私の価値観(ありたい姿)に合った行動はどっちだ?」
この3秒の自問自答が、あなたの人生を「他人のもの」から「自分のもの」へと変えていきます。
