政治・経済

『公務員給与を上げれば、日本のGDPは直接成長する』

taka

財政支出こそ、成長のエンジン

経済を支えるのは「支出」である。
とりわけ政府の財政支出は、国の生産基盤を守り、将来の安定をつくる最も確実な手段だ。
農業を見ればわかる。欧米諸国では、所得補償や価格保証を通じて、国の食料生産を守っている。これは単なる保護政策ではなく、国家安全保障そのものだ。
日本の農家の多くは赤字経営に苦しみ、平均年齢は70歳を超える。もし政府が補償をためらえば、10年後には米の生産すら危うくなる。
「農業を支える」とは、単に農家を助けることではない。国の供給能力を維持することであり、経済を安定させる根幹の政策なのである。

公共投資と国土計画の再生

公共投資もまた、経済の屋台骨を支える柱だ。
日本は1990年代以降、公共事業を削減し、建設業界の人員減少を放置してきた。結果、防災やインフラ維持の分野で深刻な人手不足が進行している。
単年度で一気に公共投資を増やせば、資材や労働力が足りず、かえって悪いインフレを招く。重要なのは「安定的で複数年度にわたる拡大」だ。政府が長期的な国土計画を掲げ、建設業の将来を保証すれば、企業も人材育成や設備投資を進められる。
若い世代が建設業に戻り、地方の雇用が回復する。これが、持続的な成長の土台となる。

公務員給与がGDPを押し上げる理由

では、政府が「国民の賃金を上げたい」と考えるなら、何をすべきか。
最も効果的なのは、公務員給与の引き上げである。

民間企業の給与は、企業の利益として一度GDPに計上されてから従業員に分配されるため、給与支給時点ではGDPは増えない。
しかし、公務員給与は違う。警察官や教師、行政職員が提供する「公共サービス」を政府が購入している形になるため、その給与額がそのままGDPに算入される。

たとえば、公務員給与を5兆円引き上げれば、GDPは同額の5兆円拡大する。年収500万円の職員を10万人新規採用すれば5000億円、非正規公務員10万人を正規化して年収を250万円上げれば、さらに2500億円がGDPに上乗せされる。
つまり、公務員給与の拡大は「直接的にGDPを成長させる政策」なのである。

安定雇用こそ少子化対策

1996年に327万人いた公務員は、現在280万人にまで減少。そのうち74万人以上が非正規だ。政府自身が不安定雇用を増やしてきた。
35〜39歳の男性で年収200万円未満の婚姻率は30%、900万円以上では90%。安定した所得がなければ、家庭を持てず、少子化は進む。
政府が率先して安定雇用を生み出すことで、地方の雇用が改善し、家族を持つ余裕が戻る。これは単なる雇用政策ではなく、国家の持続性を守る「社会基盤政策」である。

成長の処方箋は明確だ

賃上げを企業に「お願い」するだけでは経済は動かない。
政府自身が支出を拡大し、公務員の給与と雇用を強化すること。それが最も確実にGDPを押し上げ、実質賃金を増やす道である。
経済成長の鍵は、支出の抑制ではなく、「人への投資」にある。

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ABOUT ME
TAKA
TAKA
理学療法士/ビール
理学療法士として臨床に携わりながら、リハビリ・運動学・生理学を中心に学びを整理し発信しています。心理学や自己啓発、読書からの気づきも取り入れ、専門職だけでなく一般の方にも役立つ知識を届けることを目指しています。
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