嫌いな人のことで頭がいっぱい…その「怒り」があなたを不自由にする正体とは
「うるさい上司から解放されたい」 「親の敷いたレールから降りたい」 「誰にも縛られず、自分らしく生きたい」
そんなふうに、今の環境に反発して自由を求めたことはありませんか?
束縛や不満から逃れようとすることは、一見すると「自立」への第一歩のように見えます。 しかし、世界的名著『7つの習慣』の著者、スティーブン・R・コヴィー博士は、ドキッとするような指摘をしています。
その「反発心」こそが、実はもっと根深い「依存」の現れである、と。
この記事では、私たちが陥りやすい「ニセモノの自立」の正体と、誰にも振り回されない「本当の自由」を手に入れるためのマインドセットについて解説します。
結論から言うと、「嫌いな相手の逆をやる」だけでは、あなたは一生その相手から自由になれません。 その理由を、わかりやすく紐解いていきましょう。
「嫌い」の反対は「無関心」。「反発」はまだ好きと同じ?
私たちは、「誰かの言いなりになる(依存)」のが嫌で、「自分の主張を通す(反発)」ことを選びます。 しかし、コヴィー博士はこう言います。
依存状態への反発として、人々は「足かせを捨てる、解放される」「自分を主張する」「自分らしく生きる」ことを求めるわけだが、この反発は実は、もっと根深く、逃れることのできない依存状態の現れでもある。
これはどういうことでしょうか? 恋愛で例えると非常にわかりやすくなります。
- 依存:「彼がいないと生きていけない」
- 反発:「あんな男、大っ嫌い!彼の好きなものの逆をやってやる!」
この「反発」の状態、本当に彼から自由になれているでしょうか? いいえ。行動の基準がすべて「彼(が嫌がること)」になっていますよね。 これは**「マイナスの依存」**にすぎません。本当に吹っ切れた(自立した)状態とは、彼が何をしようが気にならない「無関心」の状態です。
「反抗期」は自立ではない
中高生の「反抗期」も同じです。「親が勉強しろと言うから、しない」というのは、親の命令に過剰に反応しているだけで、親に依存しています。 社会人になっても、「会社がクソだから辞めてやる」という勢いだけで動くのは、実は会社という「外的な要因」に人生の舵を握らせているのと同じなのです。
あなたを苦しめる「被害者意識」の正体
反発型の生き方をしている人は、常に何かのせいにしがちです。
他者の弱さに気持ちを振り回され、あるいは他者や物事が自分の思いどおりにならないからといって被害者意識を持つなど、内的な依存心ではなく、外的な要因に依存しているからだ。
「あの人が怒らせるようなことを言ったから、言い返したんだ」 「環境が悪いから、自分らしく生きられないんだ」
このように考えるとき、あなたは自分の感情のスイッチ(リモコン)を、他人に手渡してしまっています。 「相手が〇〇だから、私は被害を受けた」という思考こそが、外的な要因への依存そのものです。
他人の言動(外部要因)によって、自分の幸・不幸が決まってしまう状態。これでは、どんなに場所を変えても、付き合う人を変えても、本当の平穏は訪れません。
「真の自立」とは、自分で選択すること
では、どうすればこの「反発という名の依存」から抜け出せるのでしょうか。 それは、行動の動機を「他人へのリアクション」から**「自分自身の価値観」**に変えることです。
- 反発(依存):「上司がムカつくから、適当に仕事をサボる」
- 真の自立:「上司の態度は悪いが、私はプロとして自分のスキルを磨きたいから、きっちり仕事をする」
前者は上司に支配されていますが、後者は自分で自分の行動を選び取っています。 環境や他人のせいにするのをやめ、「自分がどうありたいか」を基準に行動すること。これがコヴィー博士の説く**「主体的であること(第1の習慣)」**です。
まとめ・アクションプラン
何かに「反発」しているうちは、まだその対象に囚われている証拠です。 本当の自由を手に入れるためのポイントを整理します。
- 「反発」や「逃避」は、形を変えた「依存」にすぎない。
- 「あいつのせいでこうなった」という被害者意識を持つ限り、他人に支配され続ける。
- 相手の言動に関係なく、自分の価値観で行動を選べたとき、初めて人は「自立」できる。
Next Action
もし今、あなたの中に「許せない人」や「反発したい環境」があるなら、一度深呼吸をして、自分にこう問いかけてみてください。
「もしその人がこの世に存在しなかったとしたら、私は本当はどうしたい?」
その答えこそが、誰への反発でもない、あなたの本当の「自分らしさ」です。
こうした「反応的な生き方」をやめて「主体的な生き方」へとシフトする方法は、**『7つの習慣』の「第1の習慣:主体的である」**に詳しく書かれています。 人間関係のストレスで胃が痛くなるような毎日から抜け出すための、具体的な処方箋がここにあります。ぜひ一度、手にとってみてください。
