リハビリがうまくいかない人の最後の共通点|“なんでも極端な思考”が回復を遅らせる理由
リハビリがうまくいかない人の最後の共通点
“なんでも極端な思考”が回復を遅らせる理由
これまで「リハビリがうまくいかない人の特徴」として、自己判断・依存・痛みへの誤解などを挙げてきました。
最後に紹介したいのは、意外と多くの患者に見られるタイプ——**「なんでも極端な人」**です。
これは「白黒つけたがる人」「ゼロか100かで考える人」とも言い換えられます。
「成功か失敗か」で判断してしまう心理
リハビリにおける“極端な思考”は、患者のモチベーションを大きく左右します。
たとえば、手術を受けた患者が「手術は成功?失敗?」と二択で考えている場合。
もし痛みが残ったり、回復が思うように進まなかったときに、
「手術、失敗だったのでは?」
という不安が一気に膨らみます。
この不安が、リハビリへの意欲を削ぎ、結果的に回復を妨げてしまうことが少なくありません。
本来、リハビリは「少しずつ良くしていく過程」であり、白黒つけられるものではないのです。
極端な思考が招くスポーツ復帰の落とし穴
特にアスリートやスポーツ愛好家に多いのが、「練習再開=完全復帰」と捉えてしまうケースです。
医師や療法士が「そろそろジョギングから始めましょう」と伝えると、
初日から全力で練習してしまい、患部を再び痛めてしまう——このような事例は臨床現場で頻繁に見られます。
つまり、「やっていい=もう治った」と短絡的に解釈してしまう。
この“極端なリハビリ観”こそが、回復を長引かせる原因です。
リハビリ期間中は「グレーゾーン」が正常
リハビリで最も大切なのは、グレーゾーンを受け入れる姿勢です。
手術後の回復過程は、白でも黒でもなく、常に中間のグレーの状態が続きます。
- 痛みがある日もあれば、調子が良い日もある
- 動かしやすい時期もあれば、停滞期もある
この波を「異常」と捉えず、回復の一部として受け入れることが重要です。
リハビリは右肩上がりの直線ではなく、波線のように上下を繰り返しながら進むもの。
「今は少し黒に近いけど、白に向かっている途中」と考えられるだけで、心理的な焦りや落ち込みはぐっと減ります。
「段階的」というキーワードを意識する
特にスポーツ復帰や職場復帰を目指す患者にとって、段階的に進める意識は欠かせません。
極端な人は「すぐに全力でやる」か「何もしないか」のどちらかに偏りがちです。
リハビリでは、そのどちらも避け、**“小さな階段を着実に上がる”**ことが求められます。
たとえば、スポーツ復帰なら以下のようなステップアップが理想です。
- ジョギング
- ランニング
- 50%ダッシュ
- 80%ダッシュ
- 100%ダッシュ
- 方向転換を伴う動作
- 実戦練習
これを数週間〜数か月かけて段階的に進めることで、再発リスクを最小限にできます。
「段階的リハビリ」を成功させるための連携
もしアスレティックリハビリ(現場復帰リハ)をサポートするトレーナーがいれば、
医師・療法士・トレーナーの情報共有が非常に重要です。
それぞれの視点で「どの段階にいるのか」「どこまで負荷を上げていいのか」を共有しなければ、
患者が自己判断で“極端なステップアップ”をしてしまう危険があります。
トレーナーがいない場合は、患者自身が医師や療法士に「次の段階の目安」を必ず確認するようにしましょう。
「段階的」はチーム医療のキーワードです。
リハビリ成功へのまとめ——“極端さ”を手放す勇気を
これまで紹介してきた「リハビリがうまくいかない人の特徴」を振り返ると、
最終的に行き着くのは**「極端な思考を手放す」**という結論です。
- 自己判断せず、わからないことは医師や療法士に確認する
- 家族の協力を得ながら継続する
- 依存的にならず、自分でセルフリハを行う
- 時間任せにせず、医師と目標を共有する
- 痛みを理解して、必要なら鎮痛薬を活用する
- 力を抜くコツを身につけ、脱力を意識する
- 極端な思考をやめて、「段階的」「グレーゾーン」を受け入れる
これらを意識できる人ほど、リハビリは着実に進みます。
リハビリは「成功か失敗か」ではなく、「日々の積み重ね」です。
そして、少しずつ“グレーを白に近づけていく”そのプロセスこそが、
真の回復と言えるのではないでしょうか。
