自己啓発

「主義を貫く」と「相手を尊重する」は両立する──新渡戸稲造『世渡りの道』が教える、誠実な対立の作法

taka
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「自分の主義のために戦うときも、相手の人格を尊重せよ」

現代社会では、価値観の違いによる対立があらゆる場面で見られます。
SNSでの論争、職場での意見の食い違い、政治的な立場の違い──。
しかし新渡戸稲造は100年以上前に、こう警鐘を鳴らしていました。

「自分の主義のために戦うのはよいことだが、それを人身攻撃にまでもっていってはいけない。」

これはまさに、今の時代に必要な言葉ではないでしょうか。
正しいことを主張するにも、相手の人格を尊重する姿勢が欠かせないと新渡戸は説いています。


「正しさ」が人を傷つけるとき

私たちは自分の信念や主張を「正しい」と信じて行動します。
しかし、その正しさが強くなりすぎると、知らぬ間に相手を攻撃してしまうことがあります。

SNSなどでは、相手の意見に反論するうちに、いつの間にか「人格批判」にすり替わってしまうケースが多いですよね。
新渡戸はこう戒めます。

「自分の主義を貫くにしても、相手の人格を十分に尊重する心がけがなければ、それは自分の主義に不誠実なことになる。」

つまり、相手を侮辱するような主張は、たとえ内容が正しくても不誠実だということです。
真の誠実さとは、意見の強さではなく、人を傷つけない強さなのです。


「腕力で通す主義」は欠点がある

「腕力に訴えなければ通らないような主義には欠点があるのだ。」

ここで新渡戸の言う「腕力」とは、単なる暴力だけでなく、言葉の暴力も含まれています。
声を荒らげたり、相手をねじ伏せたりする議論は、どんなに理屈が正しくても、結局は信頼を失います。

本当に価値ある主義は、静かに語っても人の心に響くものです。
正義を主張するほどに、謙虚でなければならない。
それが新渡戸が説く“誠実な闘い方”なのです。


「反対する者」こそ、敬意をもって対話せよ

新渡戸はさらにこう述べます。

「いかなる主義にしても、真面目にそれを追求する人間は、反対する者への悪口や雑言を慎まなければならない。」

これは、意見の違う相手こそ敬意を払うべきだという教えです。
私たちは「敵」と感じる人を排除したくなりますが、実は反対意見の中にこそ学びがあります。

たとえ賛同できなくても、「なぜこの人はそう考えるのか?」と一度立ち止まる。
その姿勢が、議論を対立から対話へと変えていくのです。


現代に生きる“誠実な対話”の心得

この『世渡りの道』の一節を、現代的に言い換えるならこうです。

  • 「勝つ」より「伝わる」ことを目指せ
  • 意見を攻撃しても、相手の人格は攻撃しない
  • 反対意見にも耳を傾ける余裕を持て

SNSで炎上するような論争の多くは、意見の違いではなく、相手への敬意の欠如から生まれます。
本当に成熟した社会とは、意見が異なっても人格を尊重し合える社会のことです。


まとめ:正しさよりも、誠実さを

『世渡りの道』に込められた新渡戸稲造のメッセージは、今なお深い意味を持ちます。
自分の主義を貫くことは立派なこと。
しかし、相手を傷つけてまで貫く主義は、すでにその理念から外れている。

正しさを競うより、誠実さを保つ。
勝つことより、理解し合うことを大切にする。

そうした姿勢こそが、混乱の多い時代における真の「強さ」ではないでしょうか。
意見の違いを超えて、尊重し合う心──。
それが、新渡戸稲造が100年前に描いた「人としての品格」なのです。

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ABOUT ME
TAKA
TAKA
理学療法士/ビール
理学療法士として臨床に携わりながら、リハビリ・運動学・生理学を中心に学びを整理し発信しています。心理学や自己啓発、読書からの気づきも取り入れ、専門職だけでなく一般の方にも役立つ知識を届けることを目指しています。
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