強い人は責任を受け入れる|マルクス・アウレリウスとトルーマンに学ぶ主体性の力
「自分で選択できる範囲の物事にかぎって、善悪の判断をするならば、神々を責める余地もほかの人々を憎む余地もなくなる」
これはローマ皇帝マルクス・アウレリウスの『自省録』に記された言葉です。
彼は、自分がコントロールできる範囲のことだけに責任を持ち、それ以外は受け入れる姿勢を説きました。
この考えは、現代に生きる私たちにも深い示唆を与えてくれます。なぜなら、多くの人は「自分の人生の結果」を環境や他人のせいにしがちだからです。しかし、真に強い人は責任を自分のものとして引き受けます。
トルーマン大統領の「責任を負う」姿勢
アメリカ合衆国の第33代大統領、ハリー・S・トルーマンの机には有名な言葉が掲げられていました。
「The buck stops here.(全責任は私にある)」
大統領という立場は、強大な権力と同時に重い責任を背負うものです。政策の成功も失敗も、国民の命運を分ける重大な決断も、すべて自分が引き受けなければならない。トルーマンはその自覚を、明確な言葉にして示しました。
組織ではしばしば「責任のなすりつけ合い」が起こります。しかし、大統領執務室においてはその連鎖を断ち切り、「最終的な責任は自分にある」と覚悟を持っていたのがトルーマンでした。
自分の人生の「大統領」として
では、私たちの日常にこの考えをどう生かせるでしょうか。
私たちもまた、自分の人生の「大統領」です。もちろん、国家を動かすほどの権力はありません。けれども、理性に従って選択する力は誰もが持っています。
- 与えられた状況をどう受け止めるか
- 人間関係の中でどんな言葉を選ぶか
- 仕事でどんな行動を取るか
これらはすべて、自分の選択です。
他人のせいにすることもできますが、それでは主体性を失い、人生の舵を握ることはできません。
責任を受け入れることの強さ
責任を受け入れるというのは、単に「自分が悪い」と背負い込むことではありません。
それは「自分が選んだことの結果を引き受ける覚悟を持つ」ということです。
例えば仕事で失敗したとき、「上司の指示が悪かった」と言うのは簡単です。
しかし、「自分がもっと確認できたはずだ」と受け止めれば、そこから学び、次に生かすことができます。
逆に、責任を放棄する人は成長のチャンスを失います。なぜなら、「自分には改善の余地がない」と思い込んでしまうからです。
責任を受け入れる人は、どんな困難も「自分の選択の結果」と捉えます。そして、同じ選択を繰り返さないために知恵を絞り、行動を工夫します。その姿勢こそが強さを育むのです。
日常でできる実践法
- 自分の選択を意識する
「これは本当に自分が望む選択か?」と問いかけてみましょう。 - 結果を他人のせいにしない
失敗しても「自分にできることは何だったか」と振り返ることが大切です。 - 小さな責任から受け入れる
家庭や職場での約束、日常のタスクなど、身近なことを丁寧にやり遂げることが責任感を育てます。
まとめ
マルクス・アウレリウスの哲学とトルーマン大統領の姿勢は、どちらも「強い人は責任を受け入れる」という共通の真理を示しています。
人生には自分で選べない出来事も多くあります。ですが、それをどう受け止め、どう行動するかは常に自分次第です。責任を転嫁することなく、「自分の人生の大統領」として日々を選び取っていく――そこにこそ、本当の強さが宿るのです。
