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rESWTは膝蓋下脂肪体(IFP)に有効か?治療条件・超音波評価を用いた最新研究を徹底解説

taka

rESWTは膝蓋下脂肪体(IFP)にどのような影響を与えるのか?治療条件と評価方法まで徹底解説

膝蓋下脂肪体(Infrapatellar Fat Pad:IFP)は、変形性膝関節症(KOA)や前面痛の主要な疼痛源として知られています。線維化による柔軟性低下は、膝蓋腱との滑走不全、屈曲時のつかえ感、前面痛の持続につながります。

今回紹介する研究は、rESWT(拡散型体外衝撃波療法)がIFPに与える影響を超音波エコーで詳細に評価したものです。
本記事では、治療条件(照射強度・周波数・ショック数)から結果・考察まで、臨床に活かしやすい形で整理します。


1. 治療内容:rESWT + 膝周囲ストレッチ+関節可動域練習(週1回・20分)

研究で行われた治療内容は以下の通りです。


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治療プロトコル

① rESWT照射(患側IFP)

  • 頻度:週1回
  • 部位:膝蓋腱を避けたIFP圧痛部
  • 刺激強度:1.5〜3.5 bar(疼痛閾値に設定)
  • 周波数:8〜15 Hz
  • ショック数:2000 shocks
  • 機器:Physio-Shock Master(Gymna社製)

② 膝周囲の静的ストレッチ

  • 大腿四頭筋・ハムストリングス中心

③ 膝関節可動域練習(ROM)

  • 屈伸による関節包の伸張
  • 滑走性改善を目的とした軽度運動

1回あたり20分、最大4週まで施行し、4週以内に疼痛が改善した場合は終了としました。


2. 評価方法:超音波エコーによるIFP浅層厚み測定とVAS評価

研究では、IFPの状態を客観的に評価するため、超音波エコーとVASを併用しました。


超音波エコーによるIFP浅層の厚み測定

  • 機器:SONIMAGE HS1(コニカミノルタ社製)
  • 体位:座位
  • 測定角度:膝屈曲90°(先行研究に準拠)
  • 測定部位:膝蓋骨下端より10 mm遠位の位置
  • プローブ位置:膝蓋骨下端〜脛骨粗面が含まれるよう中央部に垂直固定

左右のIFP浅層厚みを“照射前後”で計測し、滑走性や可動性の変化を確認しました。


疼痛評価:100mm VAS(Visual Analog Scale)

  • 実施者:施術者
  • 評価タイミング:照射前、照射直後、さらに4週間まで追跡
  • 動作:しゃがみ込み動作(2回)で痛みを確認

疼痛の即時効果と中期的効果(最大4週)を分析しました。


3. 結果:IFPの厚みが奥方向へ増加し、VASは劇的に改善

IFP浅層の厚み:7.7 mm → 13.6 mmに有意に増加

  • 照射前:7.7(7.1–8.9)mm
  • 照射後:13.6(11.3–14.6)mm

厚みが増えた理由として、
rESWTによりIFPの奥方向への広がりが改善し、滑走性が向上した
と考えられます。

実際にエコー画像では、照射前は圧縮され不動だったIFPが、照射後は奥へ伸びるように変化していました。


疼痛改善:VAS 71.5 → 12.5へ

  • 照射前:71.5(65.6–84.8)mm
  • 4週後:12.5(7.5–23.3)mm

さらに照射直後から有意差がみられ、
即時的な神経作用(自由神経終末の破壊)
が疼痛軽減に寄与したと推察されます。


4. 考察:IFPは自然治癒しにくいが、rESWTが滑走性改善に寄与した可能性

IFPは膝伸展で前方に、屈曲で後方に移動する柔軟組織ですが、線維化すると可動性が低下します。

先行研究では:

● IFPは固定後6週経っても自然回復しない(Kojimaら)

→ 線維化組織は自然治癒が困難

● 振動刺激でIFPの改善がみられる(Takedaら)

→ 機械刺激が脂肪細胞と線維の変化に影響

本研究でも、

  • rESWTの“waving作用”がIFP内部の滑走性改善
  • 脂肪組織の緊張緩和
  • 膝蓋腱背側の圧力減少

をもたらし、膝伸展時の前面痛が改善したと考えられます。


5. rESWTの利点:再現性が高く、手技に依存しない治療へ

従来のIFP治療は、

  • テーピング
  • 筋膜リリース

など施術者の技能差が大きい方法が中心でした。

一方rESWTは、

  • 施術者の技量に左右されにくい
  • 非侵襲で安全性が高い
  • 短時間で施行可能
  • エコーで効果を可視化できる

という臨床上のメリットがあります。


6. 本研究の限界:評価バイアス・硬度測定なし・長期効果は未検証

研究の限界として、

  • エラストグラフィーによる硬度評価なし
  • 周囲組織(膝蓋腱・滑膜)の変化を追えていない
  • VAS評価者が施術者でバイアスの可能性
  • 長期効果は検証できていない
  • 新生血管・神経増生の評価も未実施

が挙げられます。

特に、IFP炎症の慢性化では異常血管や新生神経が痛みに関与する可能性があるため、
今後はドップラーエコーを含めた詳細な組織評価が必要
とされています。


まとめ:rESWTはIFP滑走性改善と疼痛軽減に有望で、臨床応用が拡大する可能性大

本研究から得られたポイントは以下の通りです。

  • rESWT+ストレッチ+ROMでIFPの厚みと滑走性が改善
  • VASは4週で大幅改善し、即時効果も確認
  • IFPの線維化改善に機械刺激(waving)が寄与した可能性
  • 手技依存が少なく再現性が高い治療
  • エコーでIFPを定量評価できるため臨床的意義が高い
  • さらなる研究でEBM確立が期待される

IFP由来の膝前面痛に悩む患者に対し、rESWTは新たな治療オプションとなる可能性が高いと考えられます。

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ABOUT ME
TAKA
TAKA
理学療法士/ビール
理学療法士として臨床に携わりながら、リハビリ・運動学・生理学を中心に学びを整理し発信しています。心理学や自己啓発、読書からの気づきも取り入れ、専門職だけでなく一般の方にも役立つ知識を届けることを目指しています。
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