「仕事は一流、家庭は三流」でいいですか?人生を崩壊させないためのバランス調整術
「仕事の調子は最高だけど、最近、妻(夫)と会話していないな……」 「子供の世話ばかりで、一人の人間としての楽しみを忘れてしまった」
こんなふうに、人生のどこか一部だけが突出して、他がボロボロになっている**「アンバランスな状態」**に陥っていませんか?
一つのことに集中するのは素晴らしいことですが、それが行き過ぎると、人生という家は傾いてしまいます。
理学療法士として体を見ているとよく分かります。 「腕の筋肉」だけムキムキでも、「足腰」が弱ければ、まともに歩くことさえできません。健康な体とは、全身のバランスが取れている状態のことを言うのです。
この記事では、コヴィー博士が提唱する**「人生の役割(ロール)」**という考え方について解説します。
結論をお伝えします。 あなたは「会社員」である前に、「夫・妻」であり、「親」であり、そして何より「あなた自身」です。 全ての役割に光を当てたとき、初めて人生に本当の「調和」が生まれます。
人生は「複数の帽子」をかぶり直すジャグリング
コヴィー博士は、私たちが抱える多様な立場についてこう述べています。
私たちは誰でも、人生でさまざまな役割を持っている。 私生活での役割を考えてみる。夫、妻、父親、母親、隣人、友人など(中略)。仕事上の役割はどうだろうか。
私たちは一人の人間ですが、場面によって**「違う帽子」**をかぶっています。
- 会社では「部長の帽子」
- 家に帰れば「父親の帽子」
- 実家に帰れば「息子の帽子」
- 週末の趣味では「友人の帽子」
問題なのは、「部長の帽子」をかぶったまま、家庭で過ごしてしまうことです。 「俺は稼いでいるんだから偉いんだ」という態度で家族に接すれば、当然、家庭というチームは崩壊します。
役割ごとに「ミッション」を書く
では、どうすればバランス良く帽子を使い分けられるのでしょうか? おすすめなのが、**「役割ごとに目標(ミッション)を決める」**ことです。
自分の人生での大切な役割を念頭に置いてミッションを書くと、生活にバランスと調和が生まれる。
筋トレのメニューを作るように
これは、全身を鍛えるトレーニングメニューを作るのと同じです。
- 仕事(右腕): 今月は売上目標を達成する。
- 父親(左足): 週末は子供と公園で遊ぶ。
- 自分(体幹): 週に1冊は本を読んで教養を深める。
こうやって書き出すことで、「あ、最近仕事ばかりで、友人としての役割(背筋)を全然使ってないな」と気づくことができます。 全てのパーツ(役割)を少しずつでも動かすことで、人生全体の血流が良くなるのです。
定期的な「バランス検診」を行う
どれだけ気をつけていても、忙しいとつい一つのことに偏ってしまいます。 だからこそ、コヴィー博士はこう言います。
ミッション・ステートメントを折に触れて目にすれば、一つの役割だけに注意が向いていないか(中略)確かめることができるのだ。
週末の10分チェック
これは、定期的な**「健康診断」**のようなものです。
週末に手帳を開き、自分の役割リストを眺めてみてください。 「今週は残業続きだったな。その分、来週は妻の話を聞く時間(夫の役割)を増やそう」
このように微調整を繰り返すことで、大事故(離婚や過労死)を防ぐことができます。 「もっと大切な役割をないがしろにしていないか?」 この問いかけが、あなたの人生の軌道修正をしてくれるコンパスになります。
まとめ・アクションプラン
記事の要点をまとめます。
- 私たちは一人で「仕事人」「家庭人」「友人」など複数の役割を演じている。
- 特定の役割だけに偏ると、人生のバランスが崩れ、他の大切なものを失う。
- 役割ごとに目標を決め、定期的に見直すことで、生活に調和が生まれる。
仕事で成功しても、家庭が冷え切っていたら、その成功の味は苦いものになります。 逆に、家庭が円満でも、仕事や自己実現がおろそかになれば、経済的・精神的な不安が生まれます。
全部完璧にこなす必要はありません。ただ、**「全ての役割を忘れていないか」**を気にかけるだけでいいのです。
Next Action:役割の棚卸し
今すぐ、紙とペンを用意して(あるいはスマホのメモ帳で)、次のことを書き出してみてください。
- あなたが持っている役割は何ですか?(例:営業マン、夫、父、地域の班長、草野球チームの一員…)
- それぞれの役割で、今週やりたいことは何ですか?
書き出してみると、「うわ、最近『夫』としての役割が空白だった!」と気づくかもしれません。 その気づきこそが、バランスを取り戻す第一歩です。
