サナエノミクスを救う道:黒字化という名の罠
財政健全化という名の「緊縮路線」
金曜日の参議院本会議で、高市総理をはじめとする主要閣僚から所信表明演説が行われた。そこで示された令和8年度当初予算の方針は、注意深く見つめる必要がある。一般会計のプライマリーバランス、つまり基礎的財政収支を28年ぶりに黒字化させ、公債依存度も過去28年間で最低の水準にするというのだ。政府はこれを財政規律への配慮と美しく語るが、その実態は明確な「緊縮路線」の継続である。国が支出を渋り、国民からお金を吸い上げる方針が、堂々と宣言されたといえる。
黒字化が国民生活を圧迫する理由
プライマリーバランスの黒字化とは、政府が国民のために支出する額よりも、税金として徴収する額の方が多い状態を指す。これは家計に例えれば健全に見えるかもしれないが、国家レベルでは全く意味が異なる。政府の収支が黒字になるということは、その裏側で民間、すなわち私たちの財布が赤字になり、社会からお金が減っていくことを意味するのだ。経済を成長させるべきタイミングで政府が財布の紐を固く締めれば、景気は冷え込み、国民の生活はさらに苦しくなってしまうのである。
サナエノミクス成功のための二つの鍵
もし高市政権が掲げる「サナエノミクス」を本気で成功させたいのなら、やるべきことは全く逆である。不可欠なのは、まず新規国債の発行を大胆に拡大し、日本経済のパイそのものを大きく広げることだ。そして同時に、供給力が回復するまでの時間差を埋めるため、大胆な減税を行って国民の手元資金を守り抜くことである。国債の発行は将来へのツケではなく、未来の日本経済への投資だ。今、国民の負担を減らし、需要を下支えしなければ、真の経済成長は望めないだろう。
政治の本来の目的を見失うな
政府が目指すべきは、帳簿上の数字を綺麗に整えることではない。最も大切なのは、国民が安心して暮らせる生活基盤を作り、持続可能な経済成長を実現することである。財政規律という名目に縛られ、国民の生活を苦しめるような政策は本末転倒といえる。私たちは、政府が提示する「黒字化」という言葉の罠に気づき、本当に必要な経済政策は何かを見極めなければならない。数字の帳尻合わせではなく、私たちの豊かな暮らしこそが、政治の本来の目的であるべきなのだ。
