「良い」は「最良」の敵?コヴィー博士に学ぶ「勇気あるノー」の技術
「飲み会に誘われたけど、本当は勉強したい。でも断ったら悪いかな…」 「頼まれた雑用をこなしていたら、自分の仕事が終わらなかった」
このように、他人からの「緊急の用事」に振り回されて、一日が終わってしまうことはありませんか?
多くの人が「時間が足りない」と悩みますが、実は時間は足りているのです。ただ、「余計なこと」に時間を使いすぎているだけかもしれません。
この記事では、『7つの習慣』の著者コヴィー博士が提唱する「最良(Best)」を選ぶための基準について解説します。 理学療法士として患者さんのリハビリメニューを組む際も、「あれもこれも」と欲張ると結局どれも中途半端になります。「これだけはやる」と決めて、他を捨てる勇気が回復を早めるのです。
結論をお伝えします。あなたの人生を輝かせる唯一の方法は、「良いこと」に対して笑顔で「ノー」と言うことです。
「ノー」と言えない人は、人生のハンドルを握れていない
私たちは「イエス」と言うことが美徳だと教えられてきました。しかし、コヴィー博士はこう断言します。
「自分にとって一番重要なこと、もっとも大切にするべきことを決めたら、それ以外のことには『ノー』と言えなければならない」
すべての誘いや頼まれごとに「イエス」と言うのは、親切な人ではありません。単に**「自分の優先順位を持っていない人」**です。 自分の芯(一番重要なこと)がないから、他人の都合という風に吹かれて流されてしまうのです。
「家族との時間を大切にする」と決めたなら、残業や飲み会には、たとえそれが楽しそうでも「ノー」と言わなければなりません。何かを選ぶことは、何かを捨てることです。
「緊急」の顔をした「偽物」に騙されるな
私たちの目は、つい「締め切り間近」「電話のベル」といった**「緊急なこと」**に奪われます。
「目の前に現れた用事が緊急に見えなかったとしても、それははるかにもっと重要で、あなたの人生そのものに関わる事柄だったのかもしれない」
時間管理のマトリックスで言うと、私たちが本当にやるべきなのは、**「緊急ではないが、重要なこと(第2領域)」**です。
- 健康のための運動
- 将来のための勉強
- 家族とのゆっくりした会話
これらは「早くしろ!」と急かしてきません。だからといって後回しにしていると、ある日突然「病気」「リストラ」「離婚」という取り返しのつかない「緊急事態」となって襲ってきます。 目の前のバタバタよりも、静かな重要事項に目を向けましょう。
「良い(Good)」は「最良(Best)」の敵である
これが最も残酷で、重要な真実です。
「緊急な用事が『良い』ものであっても、それを端から受け入れていたら、あなたにとって『最良』のものに手が回らなくなる」
「悪いこと」なら簡単に断れます。しかし、「良いこと」はどうでしょう? 「PTAの役員活動」「地元のボランティア」「同僚の相談」。これらは社会的に見て「良いこと」です。
しかし、もしこれらを受け入れたせいで、あなたの「最良のもの(例えば、子供との時間や、人生をかけたプロジェクト)」が犠牲になるとしたら? その瞬間、その「良いこと」はあなたの人生にとって**「敵」**になります。
「良いこと」だからといって無条件に受け入れてはいけません。「これは私の『最良』を犠牲にする価値があるか?」と常に問いかける必要があります。
まとめ・アクションプラン
今回の記事のポイントは以下の3点です。
- 「最優先事項」を決めたら、それ以外には笑顔で「ノー」と言う必要がある。
- 「緊急ではないが重要なこと(第2領域)」こそが、人生の質を決める。
- 「良い(Good)」用事であっても、それが「最良(Best)」を邪魔するなら断る勇気を持つ。
断ることは相手を否定することではありません。「私にはもっと大切な責務がある」と宣言することです。
Next Action:丁寧かつ断固とした「お断り」をする
今日、気が乗らない誘いや、優先度の低い頼まれごとが来たら、こう言って断ってみてください。 「魅力的お話ですが、今は集中すべきことがあるため、お引き受けできません」
嘘をつく必要はありません。あなたの「最良」を守るための、誇り高き「ノー」を実践しましょう。
この「時間管理のマトリックス」や「第2領域」の考え方をマスターすれば、忙しさは消え、充実感だけが残ります。より詳しく学びたい方は、ぜひ**『7つの習慣』**を手に取り、第3の習慣の章を熟読してください。人生の時間の使い方が、根本から覆されるはずです。
