生まれつきの差を嘆いても意味がない
「もっと背が高ければ」「もっと賢ければ」「違う国や家庭に生まれていれば」――こうした不満は誰もが一度は抱くものです。ですが、マルクス・アウレリウスは『自省録』でこう指摘します。
「お前には、生まれつき持っていないなどと言い訳のできぬ美質がある。その美質を自分の力で見せてみよ。」
つまり、人間本来の美質は誰にでも備わっており、それを磨くかどうかは自分の選択にかかっているということです。
誰もが磨ける人間本来の美質
アウレリウスが挙げた美質は、遺伝や環境には左右されません。
- 誠実さ:約束を守り、嘘をつかない
- 威厳:落ち着いた態度で品格を示す
- 忍耐:困難を耐え抜く強さ
- 慎み深さ:自慢せず、謙虚であること
- 充足:今あるものに満足し、感謝する
- 節度:欲望や感情をコントロールする
- 親切:見返りを求めず他者を助ける
- 自由:外部の状況ではなく、自分の理性で生きる
- 粘り強さ:失敗しても立ち上がり続ける
- 噂話の回避:陰口や中傷を避ける
- 雅量(広い心):小さなことにこだわらず受け止める
どれも「なろうと思えばなれる」ものばかりです。
努力して磨いた美質こそ価値がある
生まれ持った才能や容姿は確かに魅力的ですが、それは偶然の産物です。
一方で、忍耐や誠実さのように自分の努力で磨き上げた美質は、人格そのものの価値を高め、他者からの信頼を築く基盤となります。
むしろ「後天的に育てた美質」のほうが、立派で揺るぎないものなのです。
今日から実践できること
- 不平を言いそうになったら、代わりに感謝の言葉を探す
- 怒りを感じたら、深呼吸をして自制を選ぶ
- ちょっとした場面で親切を示す(ドアを押さえる、感謝を伝えるなど)
- 噂話の輪に加わらず、静かに話題を変える
こうした小さな選択が、あなたの「人間本来の美質」を少しずつ輝かせていきます。
まとめ ― 美質は誰にでも育てられる
マルクス・アウレリウスの言葉が教えてくれるのは、人間本来の美質は遺伝や環境ではなく、自分の意志と努力によって示せるということです。
- 欠点を嘆くより、美質を磨く
- 才能よりも、誠実さや忍耐を選ぶ
- 努力して育てた美質こそ、最も価値がある
今日から一つ、自分で選べる美質を意識してみましょう。それがあなたの人間性を形づくり、周囲をも明るく照らすはずです。