手取り20万なのに会社負担は33万?社会保険料と消費税の闇
人件費は「給料」だけじゃない
「給料を上げると会社が潰れる」。経営者が口にするこの言葉は、あながち嘘ではない。なぜなら、会社が負担する人件費は、社員の給与だけではないからだ。 ここに重くのしかかるのが「社会保険料」である。その負担率は給与の約30%。これを会社と社員で折半する建前だが、実際には会社が15%を負担し、さらに社員の給料にも約15%が天引きされる。 例えば額面26万円の社員を雇う場合、会社は社会保険料として約4万円を上乗せして払う。つまり、実質的な人件費は30万円になる。さらに恐ろしいことに、ここに消費税がかかってくるのだ。
賃上げを阻む「見えないコスト」
人件費30万円に対し、約11分の1の消費税がかかるため、会社の最終的な負担は約33万円に膨れ上がる。 社員の手取りはやっと20万円程度なのに、会社側は33万円も払っている。この差額の約13万円はどこへ消えたのか?すべて国への納付金である。 もし給料を1000円上げようとすれば、会社は社会保険料と消費税を合わせて1250円以上のコスト増を覚悟しなければならない。「賃上げしたくてもできない」構造的な原因は、この異常なまでの税と社会保険料の負担にあるのだ。
「自由な働き方」という名の搾取
このコスト地獄から逃れる唯一の方法、それが「正規雇用の破壊」である。 社員を解雇し、フリーランス(個人事業主)として契約し直せば、会社は社会保険料も消費税も払わなくて済む。浮いたコストはそのまま会社の利益になる。 「成果主義」「副業解禁」「自由な働き方」。これらの美しい言葉の裏には、労働者からセーフティネットを剥奪し、企業のコスト削減を正当化するための意図が隠されている。失業保険も労災もない「雇用的自営業」という名の不安定な働き方が増えているのは、まさに制度が生んだ悲劇だ。
ボーナスが消えた理由
かつて日本企業は、利益が出れば気前よくボーナスを出していた。2002年までボーナスにかかる社会保険料はわずか1%だったからだ。 しかし今や、ボーナスにもガッツリ15%の保険料と消費税がかかる。これでは経営者も「社員に還元しよう」という気になれないだろう。 財務省は消費税と社会保険料のダブルパンチで、企業から賃上げの意欲を奪い、労働者を非正規へと追いやってきた。我々が苦しいのは努力が足りないからではない。この「雇用破壊システム」の中で生きているからなのだ。
