🌳 「なんども植え替えられた木で、力強いものは見たことがない」──フランクリンに学ぶ“腰を据える力”
■ 「勤勉だけでなく、安定と注意深さが必要」
『富に至る道』の中で、フランクリンはこう語ります。
「勤勉であるのは当然として、安定していて、落ち着いており、しかも注意深くなくてはいけません。
自分の仕事は自分で監督し、あまり他人まかせにしてはいけません。」
つまり、勤勉さだけでは不十分だということです。
努力に“方向性と継続性”がなければ、力は散ってしまいます。
フランクリンは、努力の質を高めるために次の3つを重視しました。
- 安定(Stability):環境をコロコロ変えない
- 落ち着き(Calmness):焦らず積み重ねる
- 注意深さ(Diligence):自分の目で確かめる
これらがそろって初めて、“実を結ぶ努力”になるのです。
■ 「なんども植え替えられた木で、力強いものは見たことがない」
フランクリンはプア・リチャードの言葉を引用して、こう説きます。
「なんども植え替えられた木で、力強いものは見たことがない。
なんども引っ越しを繰り返す家で、繁栄しているものは見たことがない。
どっしりと構えて動かないでいるものほど、力強く繁栄しているものはない。」
つまり、落ち着いて腰を据えることこそ、繁栄の秘訣ということです。
木は、根を張って初めて養分を吸収できます。
同じように、人も環境を次々と変えるばかりでは、成長の根を張ることができません。
「新しいことに挑戦する勇気」は大切ですが、
フランクリンは“安定の中に成長がある”と考えました。
それは、「変化するな」ではなく、**「変化に振り回されるな」**という意味です。
■ 「三度の引っ越し、丸焼け同然」
フランクリンはさらに、こんな警句を添えます。
「三度の引っ越し、丸焼け同然。」
何度も仕事や環境を変えることで、
物理的にも精神的にも大きなロスが生まれるという警告です。
現代でも、
- 転職を繰り返して信用を失う
- 目移りしてスキルが定着しない
- 流行を追って疲弊する
といった状況は珍しくありません。
もちろん変化は悪ではありません。
しかし、「根を張る前に動く」ことは、力を育てる機会を失うということなのです。
■ 「店を守れば、店が守ってくれる」
フランクリンは次の言葉で、“継続の報酬”を語ります。
「店を守れば、店が守ってくれる。」
これは、誠実に仕事を続ける人には、その仕事がやがて自分を守ってくれるという意味です。
一つのことを地道に続けると、経験・信用・人脈が積み上がり、
それが自分を支える“見えない資産”になります。
たとえば、
- コツコツ続けた仕事が次のチャンスにつながる
- 継続が評価され、信頼が生まれる
- 積み重ねが、独立や成功の土台になる
フランクリンは、こうした「継続が生む富」を真の繁栄と呼びました。
■ 「仕事をやり遂げたいなら、自分で行くこと」
さらに彼はこう言い切ります。
「仕事をやり遂げたいなら、自分で行くこと。そう思わないなら、人に行かせること。」
これは、責任を他人に委ねるなという厳しいメッセージです。
自分で手を動かし、判断し、結果に責任を持つ——。
それこそが、信頼される人の条件です。
他人任せの仕事には、情熱も誇りも育ちません。
「自分の畑を自分で耕す」ように、
一つひとつの仕事を自分の手で積み上げることが、真の成長につながるのです。
■ 「どっしりと構えて続ける人」が、結局は強い
フランクリンの教えは、現代のキャリアにも当てはまります。
短期的な刺激よりも、長期的な積み上げ。
スピードよりも、継続による深み。
それが最終的に「信用」と「富」をもたらします。
「根を張る者だけが、花を咲かせる。」
この考え方は、個人の仕事にも、企業の経営にも通じます。
目の前の成果に一喜一憂せず、腰を据えて取り組む——
それが、何よりも確実な成長戦略なのです。
■ まとめ:「根を張る人に、繁栄は宿る」
ベンジャミン・フランクリンの言葉
「なんども植え替えられた木で、力強いものは見たことがない。」
この一節には、安定・自立・継続という成功の三原則が込められています。
- 環境を変えるより、今いる場所で根を張れ。
- 他人に任せず、自分で監督しよう。
- 続ける人だけが、信用と富を築ける。
フランクリンの言葉を現代風に言えば、
「ブレない人が、最も遠くまで伸びる。」
焦らず、惑わず、じっくり育てる。
その生き方こそ、300年前から変わらない“富に至る道”です。
