自己啓発

本来の目的を見失わない──『菜根譚』に学ぶ、成果よりも「志」を大切にする働き方

taka

成果を追う前に、目的を思い出す

『菜根譚』の第56章には、このような教えがあります。
「本を読んでも内容の素晴らしさを理解できなければ、文字の奴隷にすぎない。役人になっても民衆を愛さなければ、給料泥棒にすぎない。」

一見厳しい言葉ですが、これは“行動の目的を見失うな”という強いメッセージです。
どんなに知識を蓄えても、どんなに高い地位についたとしても、「なぜそれをやるのか」という目的意識がなければ、その行動は空虚なものになってしまいます。

現代社会では、成果やスピード、効率が重視される一方で、「本来の目的」が後回しにされがちです。
たとえば、数字の目標を追うあまり、顧客の満足を見失う。
資格取得が目的化して、学びの喜びを忘れる。
そうした「手段の目的化」は、多くの人が陥る落とし穴です。


学びは“行動に生かしてこそ”意味がある

『菜根譚』は続けてこう述べます。
「学問を教える立場の人間でも、理屈ばかりで行動が伴わなければ、それは口先だけの知識にすぎない。」

これはまさに、現代の教育やビジネスにも通じる言葉です。
知識をどれだけ持っていても、それを現実の行動に移せなければ意味がない。
「知っている」と「できる」の間には、大きな壁があります。

学びとは、“頭に入れること”ではなく、“自分の行動を変えること”。
読書やセミナーで得た知識を、実際の現場で使ってみる。
人に教える、発信する、試してみる──そうした実践の中で初めて、学びは血肉となります。

知識に溺れるのではなく、知識を“生かす”。
それが、菜根譚が教える「本来の学び方」です。


利益よりも「世のため、人のため」を

この章の最後には、事業に関する警句も記されています。
「事業を興しても、利益ばかり追求し、世のため、人のためになることを考えなければ、いずれは社会から淘汰される。」

この言葉は、まさに現代の企業経営に対する鋭い警鐘といえるでしょう。
利益は事業を続けるために必要不可欠ですが、それが“唯一の目的”になった瞬間、組織の魂は失われます。

今の時代、消費者や社員は「何を売っているか」だけでなく、「なぜそれをやっているか」を見ています。
社会的使命を忘れた企業は、短期的に成功しても、長期的には信頼を失っていく。
逆に、理念を大切にし、社会の役に立つことを目的に掲げる企業は、困難な時期でも支持され続けます。

たとえ小さな規模の事業であっても、「誰かのために役立つこと」を中心に据えることで、仕事は単なる生計手段ではなく、“生きがい”に変わります。


目的を見失ったときに立ち返る3つの視点

私たちは日々の忙しさの中で、いつの間にか「何のために働いているのか」「なぜ学んでいるのか」を忘れてしまうことがあります。
そんなときこそ、次の3つの視点に立ち返ってみましょう。

  1. 「誰のための行動か」を問う
    自分の行動が誰の役に立っているのかを考えると、目的が自然と明確になります。
  2. 「成果」より「意義」を重視する
    どんなに小さな仕事でも、「意味を持ってやる」ことが成長への第一歩です。
  3. 「始めた理由」を思い出す
    迷ったときは、最初にその道を選んだときの想いに立ち返る。そこに原点があります。

目的を思い出すことで、行動に迷いがなくなり、日々の仕事が再び生き生きとしてきます。


本来の目的に忠実であることが、真の成功を生む

『菜根譚』のこの章が伝えるのは、「目的を見失った努力は、やがて虚しさを生む」という真理です。
知識も地位も、利益も、それ自体は悪いものではありません。
しかし、それらはあくまで“手段”であって、“目的”ではないのです。

本を読むのも、働くのも、学ぶのも、すべては「よりよく生きるため」。
この視点を忘れなければ、どんな仕事にも意味と価値が宿ります。

成果を追うだけの生き方から、「志を持って働く生き方」へ。
その切り替えこそが、長く充実したキャリアと人生を築く鍵になるのではないでしょうか。

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ABOUT ME
TAKA
TAKA
理学療法士/ビール
理学療法士として臨床に携わりながら、リハビリ・運動学・生理学を中心に学びを整理し発信しています。心理学や自己啓発、読書からの気づきも取り入れ、専門職だけでなく一般の方にも役立つ知識を届けることを目指しています。
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