多くの人が挫折するのは「2」から「5」に行こうとするからだ。凡人が勝つ唯一のルール。
「同期はもうあんなに成果を出しているのに」 「早く一人前になりたくて、難しい本を読んでみたけど全然頭に入らない」
このように、理想と現実のギャップに焦り、空回りしてしまった経験はありませんか?
今の世の中は「速習」「最短ルート」といった言葉が溢れていますが、人の成長において「ワープ(瞬間移動)」は絶対に存在しません。
この記事では、『7つの習慣』の著者コヴィー博士の言葉をベースに、なぜ私たちが「飛び級」をしようとして失敗するのか、そのメカニズムを解説します。 理学療法士としてリハビリに携わる私から見ても、歩けない人がいきなり走ろうとすると、必ず転倒して大怪我をします。心や能力の成長もこれと全く同じなのです。
結論をお伝えします。もし今のあなたが「レベル2」なら、目指すべきは「レベル5」ではなく、まずは地味な「レベル3」になることです。
多くの人が「今の自分」を認められない
コヴィー博士は、成長のプロセスについてこう述べています。
「どんな分野にせよ、現在の能力レベルが一〇段階の二であるなら、五に達するためにはまず三になる努力をしなければならない」
非常に当たり前のことのように聞こえますが、私たちはプライドや見栄が邪魔をして、これを認めることができません。 「自分は本当はレベル5くらいの実力があるはずだ」と虚勢を張ったり、「レベル2だなんて恥ずかしくて言えない」と隠したりします。
しかし、「自分が今、レベル2にいること」を認めない限り、永遠にレベル3にはなれません。 地図上で現在地がわからなければ、目的地へのルートが引けないのと同じです。
リハビリで学ぶ「飛び級」の危険性
医療(リハビリ)の世界には、この原則を示すわかりやすい例があります。
筋肉の強さを測る検査(MMT)で、レベル2は「重力を除けば動かせる」、レベル5は「強い抵抗に勝てる」状態を指します。 ここで、レベル2の患者さんに、いきなりレベル5の筋トレをさせたらどうなるでしょうか?
- 筋肉を痛める(怪我)
- 他の筋肉を使ってごまかす(代償動作=悪い癖がつく)
- 「どうせできない」と自信を失う(ドロップアウト)
良いことは一つもありません。 勉強も仕事も同じです。基礎(レベル2)がないまま応用(レベル5)に手を出しても、悪い癖がついたり、自信を喪失したりするだけなのです。
「千里の道も一歩から」は慰めではない
「『千里の道も一歩から』始まる。何事も一歩ずつしか進めないのだ」
この言葉を「果てしない道のりだなぁ」という溜息交じりの言葉として捉えていませんか? コヴィー博士はこれを、自然界の絶対的な法則として紹介しています。
赤ちゃんは、寝返り(レベル2)をして、ハイハイ(レベル3)をして、つかまり立ち(レベル4)をして、ようやく歩き(レベル5)ます。 「うちはハイハイを飛ばして歩きました!」という親御さんもいますが、専門家から見ると、ハイハイで培うべき体幹機能が抜けているため、後で姿勢が悪くなるなどの弊害が出ることがあります。
近道に見える道こそが「行き止まり」
一歩ずつ進むことは、一見遠回りに見えます。 しかし、プロセスを飛ばして「レベル5」のふりをし続けることは、いつか必ずメッキが剥がれ、最初からやり直す羽目になります。
「一歩ずつ進むこと」こそが、実は「最短ルート」なのです。 今日できる「レベル3への努力」は何でしょうか? それを見極め、実行することだけが、あなたを確実にゴールへ運びます。
まとめ・アクションプラン
今回の記事のポイントは以下の3点です。
- 成長に「ワープ」はない。レベル2からレベル5へはいきなり行けない。
- 自分の現在地(レベル2であること)を素直に認めることが、成長の第一歩。
- プロセスを飛ばそうとすると、怪我をするか、悪い癖がつくだけである。
見栄を張るのはやめて、堂々と「私は今、レベル2です!これからレベル3を目指します!」と宣言しましょう。その潔さこそが、本当の知性です。
Next Action:今日の「レベル3」を設定する
大きな目標(レベル10)を掲げるのは素晴らしいことですが、今日やるべきことは「レベル3」の行動です。
- 英語が話せるようになりたい(レベル10) → 今日は中学英語の単語を5個覚える(レベル3)
- 副業で稼ぎたい(レベル10) → 今日はブログの1行目を書く(レベル3)
このように、**「今の自分でもギリギリできること」**を具体的に設定し、今日中に実行してください。
この「着実な成長の法則」について、より深く理解し実践したい方は、**『7つの習慣』**を教科書として手元に置いておくことを強くおすすめします。焦った時に読み返すだけで、地に足のついた思考を取り戻すことができます。
