露骨すぎる変節「食料品税ゼロ」に見る政権の嘘
大義なき解散と、消えた「最優先課題」
1月23日、通常国会の冒頭解散。高市首相が切ったこのカードは、あまりに不可解であり、国民を軽んじるものと言わざるを得ない。就任からわずか3ヶ月。「解散を考える暇などない」「最優先は物価高対策だ」と繰り返していたあの言葉は、一体何だったのか。本予算の審議すら先送りし、国民生活を置き去りにしてまで強行するこの解散劇に、果たして正当な大義はあるのだろうか。ただの権力維持のための暴走と見られても仕方がない局面である。
突如浮上した「消費税ゼロ」の矛盾
その矛盾をさらに際立たせているのが、突如として自民党の選挙公約に浮上した「食料品の消費税率ゼロ」という案である。記憶に新しいが、高市氏はかつて、この案を国会の場で明確に否定していた。「事業者のレジシステムの改修に時間がかかる」というのが、その時の拒絶理由だったはずだ。それが選挙戦となれば、技術的な課題など最初からなかったかのように振る舞い、平然と公約に掲げる。これは単なる方針転換ではない。有権者を欺く明らかな「変節」である。
「できない理由」は嘘だったのか
そもそも、レジ改修に時間がかかると言いながら、さらに制度設計が複雑で時間を要する「給付付き税額控除」には意欲を見せていた点も理解に苦しむ。減税を拒むための言い訳として「システム改修」を利用し、選挙で不利になると踏めば、あっさりと前言を翻す。もし本当に国民の生活苦を救う気があるのなら、解散などせずに今すぐ法案を通せばいいだけの話だ。それをしないのは、結局のところ、これが単なる「票集めのための撒き餌」に過ぎないからであろう。
甘い公約に隠された増税の罠
さらに警戒すべきは、この甘い公約の裏側にあるリスクだ。食料品限定で税率をゼロにすれば、年間5兆円もの減収が見込まれる。その穴埋めとして、他の品目の税率が10%から13%程度に引き上げられる可能性すら指摘されているのだ。軽減税率の複雑化やインボイス制度の固定化など、現場の混乱も必至である。一律減税という本質的な議論を避け、見せかけの数字だけで誤魔化そうとする姿勢に、国家としての品格は微塵も感じられない。
嘘を見抜く力が問われる選挙
自民党だけでなく、野党の一部も同調するこの「食料品ゼロ」案。しかし、私たちはその場しのぎの言葉に踊らされてはならない。かつての発言との整合性、そして政策の実行力。それらを冷静に見極めなければ、またしても「選挙の時だけの嘘」に付き合わされ、そのツケを払わされるのは私たち国民自身なのだ。
