偉人たちが教えてくれる「心配しない生き方」——チャーチル、パスツール、ケタリングに共通する習慣とは

「忙しさ」が心の平安を守るという真理

「忙しすぎて心配している暇がない」——。
この言葉は、戦時中のイギリスを率いたウィンストン・チャーチル首相のものです。

第二次世界大戦という国家の存亡をかけた危機の中、彼は一日十六時間も働き続け、常に陣頭で指揮をとっていました。
ある記者に「国家の未来を心配したことはありますか？」と聞かれたとき、
チャーチルは静かにこう答えたといいます。

「忙しすぎて、心配している暇がない。」

この一言には、カーネギーが『道は開ける』を通して伝えようとした**「心の安定の本質」**が凝縮されています。

偉人たちに共通する“心配を上書きする行動力”

チャーチルだけではありません。
多くの偉人たちは、「行動することで心配を忘れる」という共通の習慣を持っていました。

チャールズ・ケタリング：行動で不安を封じた発明家

ゼネラル・モーターズの副社長であり、革新的な自動車エンジンを開発した発明家チャールズ・ケタリングもその一人。
貧困に苦しみ、妻から「心配で夜も眠れない」と言われるほど厳しい生活をしていた時期、
彼自身はまったく違う心境だったといいます。

「私は仕事に没頭していて、心配している暇などなかった。」

彼にとって仕事は、ただの労働ではなく、心のエネルギーを正しい方向に使うための手段でした。
不安を考えるよりも、手を動かし、問題を解決することに集中したのです。

ルイ・パスツール：研究に没頭することで得た平安

フランスの偉大な科学者ルイ・パスツールも、同じように「行動」によって心を保ちました。
ワクチンや発酵の研究に人生を捧げた彼は、常に実験室にこもり、科学の探究に没頭していました。

「研究に没頭していると、自分のことを心配している暇がない。」

パスツールは、集中が心の安定をもたらすことを本能的に理解していたのでしょう。
カーネギーはこの逸話を通して、

「研究者はめったにノイローゼにならない。そんな余裕がないのだ。」
と述べています。

つまり、人は自分以外の何かに全力で打ち込むとき、心配という雑音が消えるのです。

「心配をなくす」より、「心配している暇をなくす」

カーネギーの教えの根底には、常にこの考えがあります。

不安を取り除く努力よりも、不安が入り込む余地をなくす努力をせよ。

私たちは「不安をどうにかしたい」「心配を消したい」と考えがちですが、
それは多くの場合、うまくいきません。
なぜなら、「心配をやめよう」と考えること自体が心配の延長だからです。

それよりも、何かに集中し、体を動かし、他人や社会のために行動する。
その“忙しさ”こそが、心を守る最大の防御なのです。

現代人が学ぶべき「建設的な忙しさ」

現代の私たちも、チャーチルやケタリングのように一日16時間働く必要はありません。
しかし、**「意味のある忙しさ」**を持つことは、メンタルの安定にとても大切です。

心理学では、何かに夢中になっている状態を「フロー状態（Flow）」と呼びます。
この状態では不安や恐怖の感情が抑えられ、幸福感が高まることが知られています。

つまり、

• 仕事に集中する
• 趣味に没頭する
• 誰かを助けるために時間を使う
  といった行動そのものが、心の健康を保つ“自然な薬”になるのです。

まとめ：偉人たちが教える「心配のない生き方」

チャーチル、ケタリング、パスツール——。
彼らに共通していたのは、心配しない強さではなく、心配している暇がないほど動く力でした。

行動が、思考を制する。
忙しさが、心を救う。

不安に押しつぶされそうなときこそ、
「何か一つ、手を動かすこと」から始めてみましょう。
それが、心の安らぎを取り戻す最も確実な方法なのです。

TAKA

理学療法士/ビール

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理学療法士として臨床に携わりながら、リハビリ・運動学・生理学を中心に学びを整理し発信しています。心理学や自己啓発、読書からの気づきも取り入れ、専門職だけでなく一般の方にも役立つ知識を届けることを目指しています。