政治・経済

インボイスの正体は「免税いじめ」ではない。真の標的は誰か

taka

財務省が仕掛けた「公平性」という罠

インボイス制度について、世間ではある「大きな誤解」が定着してしまっている。それは、「これまで消費税を納めていなかった免税事業者から、きちんと税を取り立てるための公平な制度だ」という認識だ。 しかし、これこそが財務省が仕掛けた巧妙な罠であり、目眩ましに他ならない。 結論から言おう。インボイス制度の本質は、免税事業者への課税強化ではない。すでに真面目に納税している「原則課税事業者」に対する、実質的な大増税なのである。

負担を強いられるのは「買い手」である

この制度のカラクリは、実に悪質だ。 導入前であれば、取引相手が免税事業者であろうとなかろうと、仕入れにかかった消費税は控除することができた。しかし現在は、「インボイス」という登録番号付きの証憑がなければ、経費として認められず、仕入税額控除ができなくなってしまった。 つまり、取引先がインボイスを発行できない場合、その分の消費税をすべて肩代わりして支払わなければならないのは、買い手である企業側なのだ。「インボイスのない相手と取引をするなら、罰としてお前がその分の税金を払え」。これが、この制度が突きつける冷徹なルールである。

2029年に訪れる「本当の地獄」

事態が深刻化するのは、むしろこれからだ。 現在は激変緩和のための経過措置があり、インボイスなしでも8割の控除が認められている。しかし、これは一時的な麻酔に過ぎない。2026年10月には控除額が5割に減り、2029年10月には完全にゼロになる。 すでに影響は出始めている。ある絵本の出版社では、付き合いのある職人気質のイラストレーターたちがインボイス未登録であるため、仕入税額控除ができず、消費税負担が4000万円も跳ね上がるという試算が出た。良い作品を作るために彼らに依頼し続ければ、経営が圧迫される。かといって彼らを切れば、質が落ちる。企業は究極の選択を迫られている。

隠された増税の正体

財務省は「免税事業者はずるい」という対立構造を作り出し、国民の目を欺くことに成功した。しかし、真の被害者は、まっとうに商売をしている課税事業者たちだ。 2029年、すべての経過措置が終わり、麻酔が切れた時。日本の多くの企業は、これが単なる事務手続きの変更などではなく、企業の生存率を下げる巨大な増税であった事実に、ようやく気づくことになるだろう。だがその時になって声を上げても、全ては手遅れなのである。

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ABOUT ME
TAKA
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理学療法士/ビール
理学療法士として臨床に携わりながら、リハビリ・運動学・生理学を中心に学びを整理し発信しています。心理学や自己啓発、読書からの気づきも取り入れ、専門職だけでなく一般の方にも役立つ知識を届けることを目指しています。
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