『「身を切る改革」の正体。議員定数削減に隠された政治的意図』
「身を切る改革」の裏側にあるもの
日本維新の会が長らく主張し続けてきた「議員定数削減」。 その真意がどこにあるのか、ようやく輪郭がはっきりとしてきたといえる。 彼らが掲げる「身を切る改革」というスローガン。 表向きは、政治家自らが痛みを引き受ける姿勢を示しているように見える。 しかし、その実態を紐解けば、単なる精神論や財政的なパフォーマンスだけではない、極めて冷徹な計算が見え隠れするのだ。 それは、純粋な改革への情熱というよりは、選挙に勝つための戦略、さらに言えば「大阪での成功体験」を国政でも再現しようとする野心に基づいていると解釈するのが自然であろう。
大阪モデルと小選挙区の魔力
その成功体験とは何か。 大阪府議会の現状を見れば、答えは明白である。 現在、大阪府議会の一人区、つまり当選者がたった一名しか出ない選挙区において、維新の会はほぼ独占的な強さを誇っている。 選挙制度の仕組み上、定数が二人以上の「複数人区」であれば、第二党や第三党にも議席獲得のチャンスが残される。 しかし、定数を削減し「一人区」となれば話は変わる。 そこでは「勝者総取り」の論理が働き、最も力のある政党が議席を独占することになるのだ。 維新が推し進める定数削減は、表向きは経費削減に見えるが、その本質は選挙区を一人区化し、自党の議席占有率を極限まで高めるためのシステム作りであるといえる。 彼らはこの「大阪モデル」を国政に持ち込み、主導権を握ろうとしているのではないか。
政策のすり替えとパフォーマンス
この仮説を裏付けるように、彼らの政策の優先順位には不可解な変動が見られた。 本来、維新は企業団体献金の「全面禁止」を強く掲げていたはずである。 金権政治からの脱却こそが、改革の一丁目一番地であったはずだ。 しかし、自民党との連携や政権への影響力を模索する中で、その看板はいとも簡単に下ろされた。 その代償として持ち出されたのが、この「定数削減」である。 企業団体献金の規制であれば、他党が提案した現実的な妥協案に乗ることもできたはずだ。 だが彼らはそれをせず、唐突に定数削減というカードを切った。 これは「改革政党」としてのブランドを維持しつつ、自民党へ圧力をかけるための道具として、定数削減が利用されたに過ぎない。
数字の根拠なき「10増10減」
さらに言えば、彼らが主張する「10%削減」という数字そのものにも、確たる理論的根拠は見当たらない。 日本の人口動態や、民主主義を機能させるために必要な議員数は何人か、といった議論は置き去りにされている。 ただ「減らす」ことが目的化し、それが国民へのアピールになれば良いという、政局優先の姿勢が透けて見えるのだ。 我々有権者は、「改革」という耳障りの良いワンフレーズに惑わされてはならない。 その裏にある意図を見極め、彼らが本当に国民の方を向いているのか、それとも党の勢力拡大しか見ていないのかを、冷静に判断する時が来ているといえる。
