政治・経済

『お金が増えるとインフレになる?経済成長を生む「正しい物価上昇」の真実』

taka

貨幣に対する古い常識を疑う

「減税や給付金を」と主張すると、決まって返ってくる反論がある。「お金を配れば円の価値が下がり、ハイパーインフレになって生活が破綻する」というものだ。しかし、この懸念は現代経済において本当に正しいのだろうか。結論から言えば、その心配は杞憂に過ぎないといえる。

多くの人が抱く「お金が増えれば価値が下がる」という感覚は、お金そのものが金や銀といった貴金属であった時代の「商品貨幣論」の名残である。金山から大量の金が掘り出されれば、確かに金の希少価値は下がり、価格は暴落するだろう。しかし、現代の貨幣は貴金属ではない。日本銀行が管理するデータであり、法律と信用に基づいた計算単位である。量が増えたからといって、即座に紙切れ同然になるような単純なモノではないのだ。まずはこの古い常識をアップデートする必要がある。

豊かさが招く「デマンドプルインフレ」

では、お金が増えることで起きるインフレとは一体何か。それは「デマンドプルインフレ」、すなわち需要が牽引するインフレである。これは、お金の価値が下がるから起きるのではない。国民が豊かになり、購買力が高まることで起きる現象である。

国民に十分な資産が行き渡れば、人々は我慢していた物を買い、より良いサービスを求める。旺盛な需要に対し供給が追いつかなくなることで、モノの値段は自然と上がっていく。企業は増えた需要に応えるために設備投資を行い、雇用を増やし、賃金を上げる。これが「好景気の循環」であり、デマンドプルインフレの正体だ。つまり、このタイプのインフレは恐れるべき悪夢ではなく、むしろ待ち望むべき経済成長そのものといえるのである。

日本で急激なインフレは起きにくい

「それでも、お金を配りすぎれば制御不能になるのでは」と不安に思うかもしれない。しかし、慎重な国民性を持つ日本において、その可能性は極めて低いといえる。仮に政府が給付金を配ったとしても、多くの人は将来への不安から、その多くを貯蓄や投資に回すだろう。30年にわたるデフレで染みついた節約志向は、そう簡単には変わらないからだ。

また、市場には企業間の競争原理も働いている。需要が増えたからといって、他社より極端に高く売れば客は離れてしまう。自由競争がある限り、物価の上昇は緩やかなものに留まるはずだ。通貨発行によって、即座に円安やハイパーインフレが起きるというシナリオは、現実の経済活動や日本人の気質を無視した極論でしかないといえる。

制御可能な未来への投資

万が一、景気が過熱しても、日本銀行には「金利引き上げ」という強力なブレーキがある。金利を上げればお金の借入が抑制され、景気の熱は冷める。金融政策とは本来、デフレ脱却のためではなく、こうしたインフレを制御するためにある技術なのだ。

現在私たちが苦しんでいるのは、輸入価格の高騰による「コストプッシュインフレ」、いわゆる悪いインフレである。これと、成長に伴う「デマンドプルインフレ」を混同してはならない。必要なのは、減税と積極財政によって国民の手元に十分な余剰資金を作ることだ。生活に余裕が生まれて初めて、人は消費へと向かい、経済は力強く回り出す。

インフレを過度に恐れ、ジリ貧のままでいることを選ぶのか。それとも、正しい知識を持ち、豊かになるための緩やかなインフレを受け入れるのか。今求められているのは、経済の仕組みを正しく理解し、成長への道を堂々と歩む勇気であるといえるだろう。

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ABOUT ME
TAKA
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理学療法士/ビール
理学療法士として臨床に携わりながら、リハビリ・運動学・生理学を中心に学びを整理し発信しています。心理学や自己啓発、読書からの気づきも取り入れ、専門職だけでなく一般の方にも役立つ知識を届けることを目指しています。
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