政治・経済

『消費税減税を阻む「レジ改修1年」の嘘と真実』

taka

「レジ改修に1年」という名の障壁

積極財政を掲げながらも、消費税減税には二の足を踏む政権が存在する。その最大の理由として挙げられるのが、「レジシステムの改修に時間がかかる」という言説である。かつて、ある首相が「減税すればレジの改修に1年を要する」と発言した直後、現場からは「一晩で可能だ」という反論が飛び出したことを記憶している者も多いだろう。この「1年」という時間は、果たして物理的な制約なのか、それとも政治的な言い訳なのか。今回は、消費税減税の前に立ちはだかる「レジシステム問題」の本質を解き明かしていく。

レジスターの進化と消費税の因縁

そもそもレジスターとは、19世紀のアメリカで従業員の不正を防ぐために生まれた機械であった。日本でも高度経済成長期に普及し、70年代には商品の販売情報を管理するPOSシステムが登場する。単なる金銭登録機から、経営を支える情報端末へと進化したのである。しかし、その進化の歴史に大きな影を落としたのが、1989年の消費税導入であった。

それまで代金の授受のみで完結していたシステムに、「3%」という外枠の計算が加わる。これは当時の技術レベルでは、特に中小零細企業にとって過酷な負担となった。この時、システム改修の困難さを緩和するために導入されたのが、一定の売上以下の事業者を免税とする制度であり、これが現在まで続く「益税議論」の発端ともなっている。

複数税率が招いた最大の混乱

レジシステム業界に再び激震が走ったのは、2019年の10%への増税時である。この時導入された「軽減税率」は、現場に未曾有の混乱をもたらした。食料品は8%、酒類や外食は10%。この複雑怪奇な区分けに対応するため、多くの店舗がシステムの買い替えを余儀なくされたのである。

例えば、コンビニのイートインコーナー。店内で食べれば10%、持ち帰れば8%という区分けは、従業員のオペレーションを圧迫し、顧客とのトラブルを生んだ。しかし、この混乱を機に、政府の補助金も相まって、クラウド型のPOSレジが一気に普及することとなる。これが、皮肉にも現在の「減税」を容易にする土壌を作ったといえる。

現代のシステムは減税を拒まない

現在の主流であるクラウドPOSシステムは、インターネットを通じて設定を一つ変えるだけで、全店舗の税率を瞬時に変更できる仕様となっている。かつてのように、物理的なロム交換や複雑な手作業は必要ない。「1年かかる」という理屈が通じるのは、税率区分をさらに細分化し、複雑にする場合のみである。

もし一律5%への減税であれば、システム対応は一瞬で完了する。さらに言えば、消費税を「廃止」してしまえば、設定はより単純になり、極端な話、昭和時代の旧式レジでも対応可能となる。システムを理由に減税を拒むことは、もはや技術的には成立しないのである。

「公平・簡素・中立」への回帰

政府や財務省が「時間がかかる」と主張する裏には、インボイス制度のように、税制をさらに複雑化させようとする意図が透けて見える。しかし、租税の基本原則は「公平・簡素・中立」である。誰にでも分かりやすく、事務負担の少ない税制こそがあるべき姿だといえる。

消費税廃止は、経済対策であると同時に、複雑化しすぎた社会システムを正常化する「神の一手」となり得る。レジシステムの問題など、本来は些末な技術論に過ぎない。我々が持つべきは、技術的な言い訳を見抜き、あるべき税の姿を問い続ける知性である。

スポンサーリンク
ABOUT ME
TAKA
TAKA
理学療法士/ビール
理学療法士として臨床に携わりながら、リハビリ・運動学・生理学を中心に学びを整理し発信しています。心理学や自己啓発、読書からの気づきも取り入れ、専門職だけでなく一般の方にも役立つ知識を届けることを目指しています。
スポンサーリンク
記事URLをコピーしました