あなたは「東京の地図」で「大阪」を歩いていないか?努力が空回りする根本原因
「なんで普通こうするでしょ? が通じないんだろう」 「頑張って進んでいるはずなのに、全然目的地に着かない」
仕事や家庭で、こんな**「迷子になった感覚」**を味わったことはありませんか?
それはもしかすると、あなたが**「間違った地図」**を持って歩いているからかもしれません。
理学療法士として働いていると、よく直面します。「痛いから動かない(安静の地図)」を持っている患者さんに、最新の「動いて治す(運動療法の地図)」を渡すことの難しさに。
この記事では、スティーブン・R・コヴィー博士の言葉をヒントに、私たちの頭の中にある**「2種類の地図」**について解説します。
結論をお伝えします。 「地図」は「土地そのもの」ではありません。 自分の地図が間違っている可能性を認めたとき、初めて正しい道が見えてきます。
頭の中には「2種類の地図」がある
コヴィー博士は、私たちの頭の中にある「ものの見方(パラダイム)」を、わかりやすく**「地図」**に例えています。
人は皆それぞれ頭の中にたくさんの地図(パラダイム)を持っている。 これらの地図は二つに大別できる。「あるがままの状態」が記された地図(現実)、そして「あるべき状態」が記された地図(価値観)である。
私たちは、この2枚の地図を重ね合わせながら、日々の出来事を解釈しています。
①「現実」の地図(あるがまま)
これは、「物事はこうなっている」という事実認識の地図です。
- 「今の景気は悪い」
- 「私の体重は60kgだ」
- 「上司はいつも怒っている」
②「価値観」の地図(あるべき姿)
こちらは、「物事はこうあるべきだ」という理想やルールの地図です。
- 「景気が悪くても政府が助けるべきだ」
- 「健康のために痩せるべきだ」
- 「上司は部下を褒めて育てるべきだ」
私たちは普段、この2つを区別せずにごちゃ混ぜにして「これが世界だ」と思い込んでいます。
トラブルの原因は「地図の間違い」にある
道に迷ったとき、多くの人は「もっと早く歩こう(行動)」としたり、「気合いが足りない(態度)」と自分を責めたりします。
しかし、もし手元の地図が間違っていたらどうでしょうか?
例えば、「東京」を歩きたいのに、手元に「シカゴ」の地図があったら。 行動を変えても、態度を改めても、絶対に目的地には着きませんよね。
リハビリ現場で見る「地図のズレ」
私の現場でも、この「地図の間違い」が回復を遅らせることがあります。
- 患者さんの古い地図: 「腰が痛いときは、安静にして寝ているべきだ(昔の常識)」
- 医療の新しい地図: 「腰痛は、適度に動かした方が早く治る(現代の医学的エビデンス)」
患者さんが古い地図(パラダイム)を握りしめている限り、私がどんなに「動きましょう」と提案しても、「先生は冷たい! 私を痛めつける気か!」と反発されてしまいます。 これは性格の問題ではなく、地図が違うから話が噛み合わないだけなのです。
「地図」は「現地」ではない
ここで最も重要なのは、**「地図は現地(事実)そのものではない」**という事実です。
地図はあくまで、誰かが編集し、簡略化した「説明書」に過ぎません。 それなのに、私たちは自分の地図こそが「絶対的な真実」だと思い込み、他人の地図を否定してしまいがちです。
- 夫婦喧嘩: 「夫(妻)ならこうすべき」というお互いの「価値観の地図」を押し付け合う。
- 政治対立: 「社会はこうあるべき」という地図が違うため、議論が平行線になる。
「私の地図と、あなたの地図は違うかもしれない」。 そう思うだけで、相手へのイライラは「好奇心」に変わります。
まとめ・アクションプラン
記事の要点をまとめます。
- 私たちの頭には「現実(事実)」と「価値観(理想)」の2つの地図がある。
- 悩みや失敗の多くは、地図が間違っているのに、行動だけで解決しようとするから起きる。
- 「地図は現地ではない」。自分の地図を絶対視せず、常にアップデートする姿勢が大切。
行き詰まったときは、アクセルを強く踏む前に、一度立ち止まって地図を広げてみましょう。
Next Action:地図の点検作業
今日、誰かと意見が食い違ったり、イラッとしたりしたら、次の魔法の言葉を思い出してください。
「今、私はどの地図で相手を見ているんだろう?」
- それは「事実(現実)」ですか?
- それとも、あなたの「思い込み(価値観)」ですか?
この問いかけをするだけで、感情的な対立から一歩引いて、冷静に状況を判断できるようになります。まずは自分の地図を疑うことから始めましょう。
