自己啓発

日常の平凡なことこそ大切にせよ──新渡戸稲造『修養』に学ぶ、平凡を積み重ねる生き方の力

taka

平凡なことを軽んじていないか

新渡戸稲造は『修養』でこう述べています。

「私たちが毎日判断しなければならないのは日常の平凡なことだ。」

人は大きな夢や劇的な成功を追いかけがちですが、
実際の人生は、平凡な一日一日の積み重ねです。

  • 朝どんな気持ちで起きるか
  • どんな言葉を使うか
  • 人にどう接するか
  • 小さな約束を守るか

こうした“ごく当たり前のこと”の中にこそ、
人間の品位や人生の質が表れるのです。

新渡戸は、私たちが日々直面する「平凡な判断」にこそ、
人格の修養の場があると説いています。


「常識で判断する」というのは簡単ではない

「そうしたことは頭を絞らなくても、常識で判断できると思っているだろう。
しかし、常識で判断するというのはそう簡単なことではない。」

ここで新渡戸は、いわゆる「常識」に鋭い指摘をしています。

常識とは、単なる世間の習慣ではなく、
経験と理性の融合から生まれる判断力のこと。

だからこそ、本当に“常識的に判断する”というのは難しいのです。

たとえば、

  • 怒りたい場面で冷静に対応する。
  • 損得よりも誠実さを優先する。
  • 他人の失敗を責めず、自分を省みる。

こうした判断こそが「真の常識」なのです。
つまり、常識とは“平凡な中にある深い知恵”であり、
それを身につけるには日々の実践が欠かせません。


判断したことを「実行する」ことがさらに難しい

「そして判断したことを実行するのはさらに難しい。」

正しいことを“わかっている”のに“できない”——
これこそが人間の弱さです。

新渡戸は、知識や判断よりも「実行」に価値を置きました。
なぜなら、
知っているだけでは人格は磨かれないからです。

  • ゴミを拾う
  • 感謝を口にする
  • 約束を守る
  • 言い訳をしない

こうした小さな実行を日々重ねることが、
人間を静かに、しかし確実に成長させていくのです。


平凡な努力が「非常時の力」になる

「それをしっかり行い、日々の平凡なことも怠らず熱心に行っていけば、
たとえ人生の大問題に遭遇しても、うろたえることなく判断し解決することができるだろう。」

新渡戸はここで、平凡の中にこそ非常時を乗り越える力があると教えています。

たとえば、突然の困難や大きな試練が訪れたとき。
その瞬間に冷静な判断ができるかどうかは、
日常の小さな判断の積み重ねにかかっています。

  • 普段から誠実に生きている人は、いざというときも誠実に対応できる。
  • 普段から怠けている人は、危機のときに慌てる。

人は、非常時に突然強くなるわけではない。
平凡な毎日をどう生きているかが、
その人の「非常時の姿勢」を決めるのです。


平凡な日々こそ、最高の修養の場

『修養』という書名が示すように、新渡戸が求めたのは「人格の鍛錬」です。
そして、その舞台は決して特別な場所ではありません。

修養は、

  • 職場の人間関係の中にあり、
  • 家庭での小さな言葉づかいにあり、
  • 通勤中の心の持ち方の中にある。

つまり、平凡な日常そのものが修養の道場なのです。

新渡戸は「特別な瞬間」に生きるのではなく、
「日々の平凡」を誠実に生きることこそが、
真の人格形成につながると信じていました。


現代社会における「平凡を大切にする」生き方

現代はスピードと効率が求められ、
「特別」「成果」「成功」がもてはやされる時代です。

しかし、新渡戸稲造のこの言葉は、
そんな現代人への優しい警鐘のように響きます。

  • 地味な努力を続ける人こそ信頼される。
  • 丁寧な挨拶や感謝の一言が人間関係を変える。
  • 一日の習慣が、やがて人生の方向を変えていく。

平凡を大切にする人は、人生を深く味わえる人。
派手さはなくても、静かに豊かな充実を手にしていくのです。


まとめ:平凡の積み重ねが、非凡をつくる

『修養』第103節の教えは、次の3つにまとめられます。

  • 人生は、日々の平凡な判断と行動の積み重ねでできている。
  • 常識的に判断し、それを実行することは容易ではない。
  • 平凡な日常を大切に生きる人こそ、非常時に強くなれる。

新渡戸稲造は、「平凡を侮るな」と教えています。
平凡を丁寧に積み重ねる人が、
いつか非凡な結果を手にするのです。


最後に

新渡戸稲造の言葉を現代風に言えば、こうなります。

「特別な日を待つな。平凡な今日を大切にせよ。」

人生の大きな成功や転機は、
いつも平凡な一日の延長線上にあります。

“特別なこと”を求めるより、
“平凡なこと”を丁寧に積み重ねる。

それこそが、
新渡戸稲造の語る「真の修養」であり、
私たちが今を幸せに生きるための最も確かな道なのです。

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ABOUT ME
TAKA
TAKA
理学療法士/ビール
理学療法士として臨床に携わりながら、リハビリ・運動学・生理学を中心に学びを整理し発信しています。心理学や自己啓発、読書からの気づきも取り入れ、専門職だけでなく一般の方にも役立つ知識を届けることを目指しています。
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