「ランプの明かりは、その燃料が尽きるまで輝き続けるのか? ならば、お前の内にある真理や正義、自制も、その命が尽きるまで輝きを保てるはずではないか?」――これはストア派哲学者でありローマ皇帝でもあったマルクス・アウレリウスが『自省録』に記した言葉です。
彼は、人間に備わる理性や徳を「光」にたとえました。燃料が尽きるまで灯るランプのように、私たちの心の光も、命の限り輝かせることができるのです。
人生は「灯りを点す時間」
セネカは哲学者ヘラクレイトスの言葉を引用して「われわれ人間は、光を点され、やがて消えゆく」と書きました。
人の一生は、火がともり、やがて消えるまでの時間のようなものです。その光が短くても長くても関係ありません。問題は「その間に光をどう使うか」です。
中には、人生の終わりに近づいてからようやく心のランプに火がともる人もいます。しかし、それでも遅すぎることはありません。光はどの瞬間にも輝くことができるからです。
徳の光とは何か?
マルクス・アウレリウスが説いた「徳の光」とは、真理・正義・自制などの内的な価値を指します。
- 真理:自分を偽らず、現実を正しく見ること
- 正義:他者に誠実に接し、公平を心がけること
- 自制:欲望や怒りに流されず、理性を保つこと
これらは外の世界から与えられるものではなく、すべて自分の内から輝く光です。環境や境遇がどれほど暗くても、この光は自分の手で守り、燃やし続けることができます。
「今ここ」で光を輝かせる
アウレリウスは「君が今いる場所、そこを除いて、徳の光を輝かせるべき場所はない」とも記しています。
つまり、人生のどんな局面でも「今ここ」において光を輝かせることが大切なのです。未来を待つ必要はありません。
- 出世してから誠実に生きよう
- 時間に余裕ができてから学びを始めよう
- 誰かに評価されてから努力しよう
そう考えていては、光は灯りません。徳の光を輝かせるべき瞬間は、常に「今このとき」です。
徳の光を輝かせるための実践法
- 小さな誠実を積み重ねる
嘘をつかない、約束を守る、困っている人に一言声をかける。日常の小さな行動が「正義の光」となります。 - 欲望をコントロールする習慣
衝動買いを一度我慢する、怒りを言葉にせず呼吸に変える。自制の積み重ねは心のランプを長く燃やす燃料になります。 - 一日の終わりに内省する
「今日は自分の光を輝かせられたか?」と問い直し、次の日に改善を持ち越します。アウレリウス自身も日々『自省録』を書きながら、自らの光を磨いていました。
命の尽きるまで輝く
人生の長さは誰にもコントロールできません。しかし、燃やし続ける光の強さと質は、自分次第です。
- 若くして光を失う人もいれば、晩年に大きく輝く人もいます。
- 光の強さは地位や財産に左右されません。
- 徳の光は、最後の瞬間まで保ち続けられるのです。
だからこそ、私たちにできるのは「今日、ここで光を絶やさないこと」。それだけです。
まとめ
- 人生は、燃料が尽きるまで輝くランプのようなもの
- 徳の光=真理・正義・自制は、自分の内にあり奪われない
- 光を輝かせるべき場所は「今ここ」
- 小さな誠実・自制・内省の積み重ねが心の光を守る
マルクス・アウレリウスの言葉は、私たちに「命の尽きるその瞬間まで、内なる光を輝かせ続けよ」と呼びかけています。あなたの心のランプは今日も燃えているでしょうか?