『幸せなチームが結果を出す』に学ぶ|ウェルビーイング・マネジメント7か条で組織を強くする方法
『幸せなチームが結果を出す』に学ぶ、“ウェルビーイング経営”の新常識
「社員の幸せが、会社の利益をつくる」――。
そんな理想のような話が、今や科学的に実証されつつあります。
及川美紀氏(ポーラ社長)と幸福学研究者の前野マドカ氏による『幸せなチームが結果を出す』(日経BP)は、**“幸せと成果を両立させるマネジメント”**を解き明かした一冊。
ポーラの実証データをもとに、誰でも実践できる「ウェルビーイング・マネジメント7か条」を紹介しています。
1. なぜ「幸せ経営」がいま求められるのか?
これまで多くの企業が、利益・生産性・効率性を最優先にしてきました。
しかし、長時間労働・燃え尽き・メンタル不調といった課題が深刻化し、
“働く人の幸福度”が低いままでは成果も続かないことが明らかになっています。
幸福学の研究によれば、幸福度の高い人ほど以下の傾向があります。
- 創造性が高く、問題解決能力に優れる
- 周囲の人との信頼関係が強い
- 他者を助け、組織貢献行動が多い
- 上司からの評価・売上・パフォーマンスが高い
つまり「社員が幸せである」ことは、**企業の持続的成長を支える“資産”**なのです。
2. 幸せをつくる4つの因子 ― 「幸福学」の視点から
前野隆司・マドカ夫妻による幸福学研究では、
人の“幸せ”は次の4つの因子で構成されることが分かっています。
1️⃣ やってみよう因子(自己実現・成長)
自分の強みを生かし、挑戦する喜びを感じる。
2️⃣ ありがとう因子(感謝・つながり)
人に感謝し、支え合う関係性を築く。
3️⃣ なんとかなる因子(前向き・楽観)
失敗を恐れず、ポジティブに行動する。
4️⃣ ありのままに因子(自己受容・自立)
自分らしさを受け入れ、他人と比べない。
この4つをバランスよく育むと、幸福度は安定して高まり、
仕事への情熱・創造性・協働力が自然と引き出されます。
3. ポーラが実証した「幸せが成果を生む」チーム運営
株式会社ポーラは、「美と幸福を社会に広げる」という理念のもと、
幸福学の知見を経営に取り入れました。
同社が実施した全国規模の調査で分かったのは、
**「幸福度が高いチームほど、売上・顧客リピート率も高い」**という事実。
特に、幸福度に大きく影響していたのは「ありがとう」と「なんとかなる」因子。
仲間との信頼関係や、前向きな職場文化が成果を支えていたのです。
4. 「幸せなチームづくり7か条」――リーダーが実践すべき7つの原則
ポーラの現場調査を通して導き出されたのが、
「幸せなチームづくり7か条」。
これは心理的安全性・信頼・成長を促すリーダーの行動原則です。
🔹メンバーとの向き合い方(4か条)
第1条:対話する・目をつむらない
問題を放置せず、率直に話し合う時間をつくる。
第2条:ジャッジしない・正解を求めない
価値観の違いを楽しみ、メンバーの個性を尊重する。
第3条:執着しない・リセットする
衝突があっても翌日に持ち越さない。気持ちの切り替えが重要。
第4条:任せる・委ねる・頼る
自分で抱え込まず、相手の強みを信頼して任せる。
🔹リーダー自身のあり方(3か条)
第5条:経験を教訓にする
失敗も成功もすべて糧。学びとして次に活かす。
第6条:相手を変えるより、自分が変わる
相手を責めず、関わり方を調整する。変化のきっかけは自分から。
第7条:愛のループを自分から始める
感謝や称賛を言葉にして伝える。ポジティブな循環をつくる。
5. 幸せと成果の“相関関係”が証明された
ポーラ幸せ研究所の第3回調査では、
この7か条の実践度が高い店舗ほど、以下の数値が向上していました。
- スタッフの仕事満足度(幸福度)
- 新規顧客のリピート率(成果)
つまり、「幸せなチームづくり」は単なる理想論ではなく、
ビジネス成果をもたらす再現性あるマネジメント手法であることが証明されたのです。
6. ウェルビーイング・マネジメントを実践するために
あなたのチームは、どれだけ“幸せ”でしょうか?
もしメンバーの顔が疲れているなら、それは「幸せのサイン」が欠けているのかもしれません。
今日からできる一歩として――
- 毎朝のミーティングで「ありがとう」を1つ伝える
- 失敗談を共有できる“安心の場”を設ける
- 上司自身が“自分らしく働く姿”を見せる
こうした小さな行動が、チームの幸福度と成果を同時に押し上げていきます。
まとめ|“幸せ”を経営の中心に置く勇気を
『幸せなチームが結果を出す』が教えてくれるのは、
「幸せは“個人の感情”ではなく、“組織の戦略”である」ということ。
幸福度の高いチームは、創造的で、協力的で、持続可能。
そして、それが最終的に“結果”につながる。
あなたのチームにとっての“幸せ”とは何か?
その問いから、次の成果は始まります。
