人間関係で我慢ばかりしていませんか?相手も自分も100%満足する「第3の道」
「商談で、こちらの利益を通すために相手を説き伏せなきゃ」 「夫婦喧嘩を収めるために、ここは自分が我慢(妥協)すればいいか」
仕事や家庭で、このように「どちらかが勝ち、どちらかが負ける(あるいは我慢する)」という解決策を選んでいませんか?
実は、一方が泣きを見る解決策は、長期的には必ず破綻します。なぜなら、負けた方には「貸し」の意識や不満が残るからです。
この記事では、『7つの習慣』の著者コヴィー博士が提唱する**「Win-Win(ウィン・ウィン)」**の真髄について解説します。 理学療法士としてチーム医療に携わる中で痛感しますが、医者だけが満足して患者さんが納得していない治療計画は、絶対に長続きしません。全員が心から納得した時だけ、奇跡のような成果が生まれるのです。
結論をお伝えします。人生は「椅子取りゲーム」のような競争の場ではありません。みんなで椅子を作って座る「協力の場」なのです。
人生を「勝ち負け」で見ていませんか?
私たちは子供の頃から、テストの順位や運動会など、「誰かが勝てば、誰かが負ける」という競争の世界で育ってきました。 これをコヴィー博士は「Win-Lose(自分が勝ち、相手が負ける)のパラダイム」と呼びます。
しかし、大人になってからの人間関係でこれをやるとどうなるでしょうか?
- Win-Lose(自分本位):相手を論破して一時的に勝っても、恨みを買って次は協力してもらえない。
- Lose-Win(自己犠牲):「私が我慢すればいい」と屈服すると、ストレスが溜まっていつか爆発する。
どちらも長続きしない、不健全な関係です。
Win-Winとは「お互いにハッピー」以外認めないこと
コヴィー博士の定義するWin-Winは、非常にシンプルかつ強力です。
「Win-Winは、すべての人間関係において、必ずお互いの利益になる結果を見つけようとする考え方と姿勢である」
これは「妥協(お互いに少しずつ損をする)」とは違います。 「私はAが食べたい」「僕はBが食べたい」となった時、「じゃあ間をとってCにしよう」ではなく、「二人が最高に満足できる、まだ見ぬDを探そう!」とするのがWin-Winです。
「人生を競争の場ではなく協力の場ととらえる」
世界にある「パイ(利益)」は限られていて、奪い合うしかないと思っていませんか? Win-Winの発想は違います。「協力してパイを大きく焼けば、みんなでお腹いっぱい食べられるじゃないか」と考えるのです。
なぜWin-Winだと「実行」されるのか?
上司に一方的に決められたノルマや、親に言われた勉強。やる気が出ますか? 出ませんよね。 人は「負かされた(説得された)」と感じると、面従腹背(表面だけ従って裏でサボる)になります。
しかし、Win-Winは違います。
「Win-Winの姿勢で到達したソリューション、当事者全員が納得し満足し、合意した行動計画には必ず実行する決心をするものである」
「これは自分にとってもメリットがある!」と心から納得しているからこそ、誰に言われなくても自発的に実行したくなるのです。 リハビリでも「先生にやらされている運動」は続きませんが、「これをやれば自分の夢が叶う」と納得したメニューは、患者さんが自宅でも勝手にやってくれます。これがWin-Winの魔法です。
まとめ・アクションプラン
今回の記事のポイントは以下の3点です。
- Win-Winとは、単なる妥協ではなく、お互いの利益を最大化する「第3の案」を探すこと。
- 人生は「パイの奪い合い(競争)」ではなく、「パイを大きくする(協力)」場である。
- 全員が心から納得しているからこそ、強烈な「実行力」と「継続力」が生まれる。
相手を打ち負かそうとするエネルギーを、相手と一緒に解決策を探すエネルギーに変えてみましょう。敵がいなくなり、協力者だらけの世界に変わります。
Next Action:魔法の言葉を使う
今日、誰かと意見が対立したり、交渉が必要になったりしたら、次の言葉を口に出してみてください。
「あなたもハッピーで、私もハッピーになれる方法を、一緒に考えませんか?」
この一言が、対立構造(テーブルを挟んで向き合う関係)を、協力構造(同じ方向を見て並んで座る関係)へと瞬時に変えてくれます。
Win-Winに至るための具体的なステップや、相手がWin-Winに応じない場合の対処法(No Deal)について深く知りたい方は、**『7つの習慣』**を必携の書として手元に置いておくことをおすすめします。人間関係のストレスが劇的に減るはずです。
