「われわれは苦しい冬の訓練に耐えねばならない。その覚悟ができていないことに慌てて飛び込んではならぬ」――エピクテトス『語録』。
「冬の訓練」の意味
古代において、冬は軍隊が活動を休止する時期でした。大規模な戦争は少なく、むしろ小競り合いが続き、その合間に兵士たちは訓練を積んでいました。エピクテトスが言う「冬の訓練」とは、戦いがないときにこそ地道な鍛錬を怠ってはならない、という教えです。
これは軍事に限らず、人生のあらゆる分野に通じます。仕事、学び、人間関係――困難が訪れてから準備を始めても遅すぎます。平穏なときにこそ、次の試練に備えて自分を鍛えておくべきなのです。
現代の「冬の訓練」
この考え方は、スポーツやビジネスの世界にも当てはまります。NBAのスター選手レブロン・ジェームズは、シーズンオフにも休まずトレーニングを続けることで有名です。普段はしない練習や基礎の見直しを行い、次のシーズンに備えるのです。
アメリカ軍もまた、平和なときであっても訓練をやめません。敵の姿が見えなくても演習を行い、日夜備えを固めています。いざ戦場に立ったとき、勝利を収めるのは「準備をしていた者」だからです。
私たちが学べること
エピクテトスの教えは、日常を生きる私たちにとっても重要です。
- 片手間でやらない
仕事や勉強を「なんとなく」で済ませず、一瞬一瞬に集中する。 - 平穏なときにこそ備える
問題が起きてから慌てるのではなく、普段から知識やスキルを磨いておく。 - 小さな困難を自ら選ぶ
快適さに甘えず、あえて難しい課題に挑戦することで、いざというときに動じなくなる。 - 継続を重んじる
特別な瞬間だけ頑張るのではなく、日々の習慣を大切にする。
まとめ
- エピクテトスは「冬の訓練」に耐えることを通して、準備と覚悟の大切さを説いた。
- スポーツや軍事の世界でも、平和やオフの時期にこそ鍛錬が欠かせない。
- 私たちも、順調なときに備えをしておくことで、困難に直面しても慌てずに切り抜けられる。
苦しい冬の訓練に耐えることは、未来の自分を守る投資です。今日から一歩ずつ、自分なりの「冬の訓練」を始めてみませんか。