「レジが理由」の限界。高市総理の減税先送りと責任転嫁の正体
圧倒的な議席数と、進まない公約
衆院選から三ヶ月が経過した。自民党が単独で三分の二、維新を含めれば四分の三という、憲法改正すら可能な「何でもできる」議席を手にしてから、国民が待ち望んだ変化は起きていない。特に公約に掲げられた消費税減税については、進展どころか議論すら停滞しているのが現状である。市場では石油やナフサの不足が深刻化し、供給能力が政府の試算に追いつかず、消費現場は混乱の極みに達している。にもかかわらず、政府が繰り返すのは「準備が足りない」という言い訳ばかりである。
「レジのせい」という名の責任転嫁
高市総理は、税率変更に伴うレジシステムの改修に時間がかかる現状を「日本として恥ずかしい」と述べた。システム側が「一年の猶予が必要」と主張していることを盾に、柔軟な対応ができないことを嘆いてみせる。しかし、これはあまりに白々しい。岸田政権時代から同様の指摘はなされており、本気で減税を考えていたのであれば、その期間に準備を終えているべきだったからである。公約として掲げた「悲願」が、いざ蓋を開けてみれば民間企業のシステム構築の遅れに責任をなすりつける道具に成り下がっている。
隠された真実と、一晩で変わる数字
興味深い証言がある。自民党の萩生田氏は「レジの数字は一晩で変えられる」と高市氏に助言し、彼女もそれを承知していたというのだ。事実、一部のレジ会社や小売現場からは、一、二日あれば対応可能だという声も上がっている。技術的な障壁ではなく、政治的な「やる気」の欠如が、減税を阻んでいる本質といえる。さらに、消費税が「預かり税」ではないという性質を考えれば、価格への反映方法など後回しにして、まずは税負担を軽減するという政治決断を下せば済む話である。
誠実な政治か、単なる保身か
消費税減税は、物価対策、経済政策、そして少子化対策としても極めて有効な手段である。国民の手元にお金を残すことこそが、最大の景気刺激策になるからだ。できない理由をレジシステムの複雑さに求めるのは、国民への不誠実そのものである。増税の時は一瞬で強行し、減税の時だけ一年かかると強弁する矛盾を、我々はいつまで見過ごすべきだろうか。多席の力は、できない言い訳をするためではなく、困難を突破するためにこそ使われるべきである。
