政治・経済

「借金ゼロ」が国を滅ぼす。財政黒字化の罠と真の投資

taka

世界的な政策転換と「足かせ」となる財政規律

世界が「官民連携の成長投資」という新たな潮流へと大きく舵を切る中、日本が長年頑なに守り続けてきた方針がある。それが、プライマリーバランスの黒字化を最優先とする「財政健全化」路線である。政府の関与を極力減らす新自由主義とは相性が良かったこのルールも、各国が巨額の投資を競い合う激動の時代に突入した現在においては、日本経済の深刻な足かせとなっているといえる。

プライマリーバランス黒字化という「敗北のルール」

プライマリーバランスの黒字化とは、平たく言えば「将来の成長に向けた投資であっても、すべて現在の税収の範囲内でまかないなさい」という厳しい制約である。 これは企業経営に例えれば、生き残りをかけて大胆な投資を急ぐCEOに対し、財務担当者が「手元の現金(キャッシュフロー)の範囲内でしか投資は認めない」と突っぱねるようなものだ。ライバル企業が銀行から多額の資金を調達して次々と最新設備に投資している中で、手元資金にこだわる企業が競争に勝てるはずがない。つまり、過度な財政規律への固執は、確実に日本の国力を削いでいくのである。

国債発行は「ばら撒き」ではなく「未来への投資」

現在の政権下では、積極財政によって国債の増発が見込まれている。これを単なる「ばら撒き」と批判する声もあるが、それは本質を見誤っている。 新たに調達された資金は、将来の成長産業を育てるための投資や、災害・有事に備える危機管理など、これからの国民生活に不可欠な基盤づくりに充てられる。将来の豊かな所得や強靭な国力に直結する前向きな投資であるからこそ、国債という手段で資金を調達することは、むしろ極めて理にかなった選択といえる。

本当の「ツケ」とは何か。次世代に残すべきもの

「借金をして国債を発行すれば、将来世代にツケを残すことになる」という批判は根強い。しかし、視点を変えてみてほしい。 目先の借金を減らすことばかりに気を取られ、成長のための投資を怠った結果、稼ぐ力や供給能力を失い、衰退しきった国を丸ごと手渡されること。それこそが、これから先の何十年という時代を生きる若い世代にとって、最も残酷で重い「ツケ」となるのではないだろうか。今、私たちがなすべきは、借金ゼロの貧しい国を残すことではなく、力強く成長できる豊かな国の土台を築くことである。

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TAKA
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理学療法士/ビール
理学療法士として臨床に携わりながら、リハビリ・運動学・生理学を中心に学びを整理し発信しています。心理学や自己啓発、読書からの気づきも取り入れ、専門職だけでなく一般の方にも役立つ知識を届けることを目指しています。
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