アベノミクスとの決定的違い。真の成長戦略とは
「アベノミクスの再来」という誤解
現在の経済政策を指して「アベノミクスの再来」と呼ぶ声があるが、その本質は全く異なる。まず決定的に違うのが金融政策である。アベノミクスが日銀による大規模な金融緩和を推進したのに対し、現在はむしろ利上げ方向へと政策の舵が切られている。 さらに財政政策においても、かつてが目先の需要不足を補う「家計支援」中心だったのに対し、今は将来の「供給能力」を高めるための成長投資に主眼を置いている。意図的に需要を押し上げて高圧経済を作り出し、国力を底上げすることが真の狙いといえる。
量の拡大から「付加価値の創造」へ
成長戦略の描き方も大きく転換している。従来のコスト削減や効率化による「量の成長」を追うのではなく、社会課題の解決を通じた「付加価値型の成長」を目指しているのだ。 例えば、日本が直面する超高齢化社会という重い課題。これを解決する仕組みやノウハウを確立できれば、やがて同じ悩みを抱える世界各国へビジネスとして輸出することができる。世界規模の巨大な課題を誰よりも早く克服し、その解決モデルを展開することこそが、次なる時代において莫大な富を生み出す源泉となるのである。
強い産業をさらに強くする「官民連携」
もう一つの重要な違いが、政府と民間の関わり方である。これまで国は、半導体のように衰退の危機にある産業には資金を投じる一方で、自力で稼げる強い産業については「民間任せ」にする傾向が強かった。 しかし、これからの時代、新自由主義的なその姿勢では世界競争に勝てない。強みを持つ産業にこそ、国が積極的に支援に入り、他国の追随を許さない圧倒的な競争力を持たせなければならないのだ。
コンテンツ産業に見る日本の未来
その最たる例が、アニメや映画などのコンテンツ産業である。日本のコンテンツの海外売上高はすでに半導体輸出を超え、6兆円規模に達する立派な稼ぎ頭である。しかし世界を見渡せば、各国は自国のコンテンツ産業に対し、日本の数十倍という桁違いの国家予算を投じて覇権を争っているのが現実だ。 政府は2033年までに海外売上高を20兆円に引き上げる目標を掲げているが、今のままではかつての家電産業のように海外勢に飲み込まれかねない。強力な官民連携で未来の成長に投資すること。これこそが、アベノミクスとは一線を画す、新たな日本経済の勝ち筋である。
