「継続は心がけ次第だ」—新渡戸稲造『修養』に学ぶ、続ける人とやめる人の違い
「続けられない理由」を環境のせいにしていないか
新渡戸稲造は『修養』の中でこう述べています。
「継続の精神さえあれば、多少生活上の変化があったとしても、まったく問題にならないはずだ。」
誰もが一度は、「忙しくなったから」「環境が変わったから」と言い訳して、
習慣や努力を中断した経験があるのではないでしょうか。
しかし、新渡戸はそれを「本当の理由ではない」と喝破します。
継続できないのは、環境のせいではなく、心の弱さなのです。
人は環境に負けるのではなく、“自分の言い訳”に負ける
新渡戸は続けて、具体的な例を挙げています。
「たとえば、これまで冷水浴をしていた者が、今度は浴室のない家に移ったために、冷水浴をすることができなくなったとする。
しかし、これはもともと冷水浴をするのが嫌いであったところに、浴室のない家に移るという口実ができたために、それを自分に都合よく使っただけのことだ。」
まさに“人間あるある”です。
「できない理由」を見つけるのは、驚くほど得意なのです。
本当は「やりたくない」「やめたい」という気持ちがあるのに、
環境を理由にして、自分を納得させようとしてしまう。
しかし、新渡戸は断言します。
「その人に冷水浴を行おうとする強い気持ちがあれば、どんなところに移ったとしてもできないことはない。」
つまり、続けるかどうかは、心がけ次第。
本気で続けたいと思えば、方法はいくらでも見つかるのです。
継続を決めるのは“状況”ではなく“覚悟”
現代社会では「時間がない」「忙しい」「環境が悪い」という言葉が日常的に使われます。
しかし、冷静に考えれば、時間も環境も“自分の選択”の結果であることが多いのです。
- 通勤中にスマホをいじる時間を読書に変える
- テレビを見る代わりに運動する
- SNSを10分減らして内省の時間にする
小さな工夫で、「できない」は「できる」に変えられます。
それを実行できるかどうかは、心の姿勢にかかっています。
継続できる人の3つの共通点
- 「やる理由」を明確にしている
目的が曖昧な人は続きません。
なぜそれをするのか、何を得たいのかを常に自分に問いましょう。 - 「環境を整える努力」を怠らない
心がけだけではなく、実際に続けやすい仕組みを作る。
たとえば、朝の準備を前日にしておく、学習環境を固定するなど。 - 「自分に言い訳しない」
「今日は忙しい」「疲れている」という言葉が出そうになったら、
「それでも5分だけ」と小さく行動する。
小さな継続が、自信と信頼を生み出します。
“継続する心”は、筋肉のように鍛えられる
新渡戸の教えは、「継続は才能ではなく訓練である」ということを示しています。
心がけ次第で、人は誰でも続ける力を強くしていける。
最初は小さなことから始めましょう。
- 1日1ページ本を読む
- 感謝の言葉をひとつ書く
- 1分間、静かに呼吸する
これを毎日続けるうちに、
「継続の筋力」がついていきます。
そして、それが人生のあらゆる場面で“ぶれない強さ”を発揮するようになるのです。
環境が変わっても、自分は変えない人になる
新渡戸稲造の「継続は心がけ次第だ」という言葉は、
“環境に流されない生き方”を教えてくれます。
引っ越し、転職、人間関係の変化——
どんなに状況が変わっても、自分の原則を保てる人。
それが、真に修養を積んだ人間の姿です。
周囲や環境が変わるたびに心が揺らぐ人は、
結局「自分を失う」ことになります。
逆に、心が定まっている人は、
どんな環境でも自分を生かし、力を発揮します。
まとめ:続けられる人は、心を整えた人
新渡戸稲造『修養』の「継続は心がけ次第だ」は、
「続ける力の本質は環境ではなく、心にある」という不変の真理を教えています。
- 継続できないのは環境ではなく“言い訳”のせい
- 続けるかどうかは、心がけと覚悟で決まる
- 心を鍛えれば、どんな環境でも自分を貫ける
変わるのは環境ではなく、自分の心。
新渡戸の言葉が教えてくれるのは、
「続ける人は、結局“強く優しい人”になる」ということなのです。
